夢との距離

国公立の試験を目前にして、受験生たちの顔色も変わってきた。

すでに、私大の結果はぼちぼち出てきている。
現役生はよいが、浪人生で、ネガティブな結果が出ている子は、ダメージが大きい。

今日、まとめて質問をもってきた女生徒は、とても熱心でわかりが早く、なんとか受かってほしいが、すでに一校、失敗がわかっている。
獣医を志望しているとのことだが、その理由がおもしろい。
彼女は、外交官のお嬢さんで、小さいころからずっと、アジア圏の国々を回って育ってきたのだという。
そこで、家畜やそれを飼う人々の実態にふれ、なんとか、動物と人が幸福に暮らせる道をみつけたい、とのこと。

獣医学部は人気が高く、むずかしい。
残念なことに、彼女の力は、じゅうぶんというほどではない。

聞くと、時期も時期だし、獣医という資格にこだわるのではなく、その夢を胸に秘めておいて、農学系の学部に進んで、いずれは・・・というふうに考えることにしたという。
動物を救うのであれば、獣医にこだわらず、研究という形で関わることもできるのではないか、と彼女は私にたずねた。
もちろん、そうだよ、と答えた。

いろいろ話をしていて、そうか、あなたは私よりはるかにいろんな世界を見てきているんだね、と言ったら、彼女は
「見てきたのはいいんですけど、その結果見ることができる夢と、現実とのギャップがつらいです」
と言った。

『こうありたい自分』と『今の自分』のギャップに苦しむのは、みんな同じだけど、男の子の苦しみ方と、女の子の苦しみ方は、微妙に違うような気がする。

男の子は、ギャップがあることそのものを認めたがらず、目をそらしたままギャップを埋めようとして苦しみ、女の子は、ギャップそのものをクソマジメに見つめ、見つめすぎて手が動かずに苦しむ。

・・・ような印象。あくまでも印象。

とりあえず、彼女も、私も、夢へ向けて歩くことは、大学院を出ようと、また、おばあさんになろうと、続けていくんだろうな、と思った。
歩みを止めさえしなければ、確実に、今とは違うところに立てるはずだ。

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本日の細胞

ついにEくんの細胞にも、ナゾの菌が発生。
DMEM培地がコンタミ源と思われる。

緊急コンタミ警報を発令し、とりあえず必要な培地を2種類、つくりなおす。

技官のKさんに染色法を教わり、今度、細菌の同定をしてみようと思う。
コンタミはショックだが、同定作業そのものは、ちょっとおもしろそう♪