NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』を、毎朝楽しく見ている。
なんと言っても、ここのところ、ドラマは大きな展開を迎えているのだ。
ついにアニメーターになりたいという決意を固めた主人公・なつ。
幼いころから自分を引き取って育ててくれた柴田家の家族に、「東京へ行かせてください」と頭を下げたのだが、その理由を問われたときに、なぜか「アニメーターになりたいから」という一番強い思いを口にすることはなく、「東京で暮らす実の兄を支えたいから」と言ってしまったのだ。
ずっとなつをかわいがって、酪農の仕事を教えてくれていたおじいさんが、それを聞いて激怒。なつに「勝手にしろ。出ていけ。お前の顔など見たくない」と言い放ってしまった。
柴田家の家族は、なつがアニメーターになりたいという夢を抱いていることまでは知らなくても、彼女が本当の気持ちを押し隠しているということには気づいている。そして、それぞれにいらだったり、心配したり、もどかしがったりしている。
なつの幼なじみである天陽は、彼女のアニメーター志望を知っている唯一の人間であるだけに、いっそういらだちともどかしさを隠せない。
そんな周りの人たちの思いを一身に受けているのに、なつは「アニメーターになりたいだなんて言ったらおじいさんに申し訳ない」と言ってみたり、「自分みたいなものがアニメーターになれるわけなんかない。ならない」と言ってみたり、天陽に「あんまり応援しないでよ」と言ってみたり、盛大にぐじぐじ・もだもだしている。
見ている方もやきもきするが、同時に、ああ青春だなあ、と甘酸っぱい気持ちにもなる。
しかし、どうなんだろう。
大人になったら、みんな、「本当の気持ち」が言えなくて悩んだり、困ったりはしなくなるものなんだろうか。
大人はみんな、「本当の気持ち」を言うべき場面と、言わない方がいい場面とを、きちんと見分けてさらりと対応できてるんだろうか。
だって私には、そんなことができている自信がまったくないんだもの。
さすがに10代や20代のころよりは肩の力は抜けていると思うけど、どうかすると、言うべき場面で「本当の気持ち」を隠してしまって、後悔することがある。
そうなってしまう理由は、相手を信頼しきれなかったとか、自分を取り繕って見栄をはりかったとかいろいろあるけれど、共通しているのは、たぶん、ありのままの自分に自信がなかったということだと思う。
いい年をして青春でもなかろうし、しかし、この困った癖はどうにかなっていくのかなあ、困ったもんだなあ。
ねえ、なつよ。