制限緩和と活動再開の流れの中で

ここ最近、日本を含む世界各国で、COVID-19感染拡大防止のための行動制限状態を緩和し、社会経済活動を再開していく流れが加速している*1 *2 *3 *4 *5

しかし、WHOのダッシュボード*6を見る限り、感染者数の減少傾向が見て取れる地域は、欧州、東アジア、オセアニア等とまだ少なく、世界的に見ればまだまだ感染者数は増加傾向にある。
アメリカも、半数近くの州で感染者数は増加傾向にあるため、まだ国全体として減少しているとはいえそうにない*7

こういう状況で一部の国々が活動を再開し、人の移動が増えていけば、再び各国で感染拡大が生じるリスクは当然ある。
しかし、社会経済活動の停滞によってこれまで多大なダメージが既に生じているし、停滞が続くことで生じうるリスクももちろんある。
個別の事情を背負った国や地域が、他の国や地域と連携しつつ、疫学と社会経済活動のバランスを取るための指針を決定していかなければならない。感染拡大防止に(ある意味)専念していればよかったころと比べて、これからはさらに難しい意思決定が必要となるのかもしれない。

特に、もはや感染制御を捨てて活動再開へと完全に舵を切ろうとする国と、感染制御を諦めない国との間で、コンフリクトが生じるだろう。5月の終わりに北大の西浦先生が危惧されていたこと*8が、またここ数日で現実味を帯びてきたように思える。

日本でも、もう今の状態が普通だと捉えよう、という考え方が少しずつ出てきているようだ。
最近読んだ高山義浩先生の記事も印象的だった。
目標は患者数ゼロではなく、大流行させないこと(高山義浩) - 個人 - Yahoo!ニュース

この高山先生の記事では、COVID-19感染拡大予防策の振り返り、現状、見通しが、非常にわかりやすく簡潔に解説されている。
その中に、こういう記載があった。

いま、全国では、数十人程度の感染を毎日確認しており、患者数が下げ止まっている状況です。一定の人口があると感染症はリザーブされてしまうもの。日本がとっている現行の対策においては、これが定常状態なのかもしれません。そのうえで、ときどき北九州のような流行を認め、その都度、封じ込めることが繰り返されるのでしょう。

つまり、これが私たち社会のゴールと考えておいた方がよいと思います。

私個人としても、なるほどそうなのかな、とは思うものの、ここは少し立ち止まっておきたい。
どこを「私たち」の社会のゴールとするかは、まだ社会的合意形成が十分になされているとは思えないからである。

たとえば「新しい生活様式」が含まれる専門家提言*9の中でも、専門家は「この感染症への対応については、長丁場を覚悟しなければならない」「今後とも一定期間は、この新たなウイルスとともに社会で生きていかなければならないことが見込まれる」(*強調は引用者による)としか言っていない。
「長丁場」や「一定期間」は、いつかは終わりが来るものだということを意味する。
全国で毎日、数十人程度の新規感染者が生じる状態が、「定常状態」であり「ゴール」だと考えるべきだ、という意見は、今のところ、国や国の政策に助言を行う専門家の公的な見解としてはまだ示されていないし、それに基づく国民の理解や議論も十分だとはいえないのではないか。

全国で毎日、数十人程度の新規感染者が生じれば、この感染症で亡くなる方も必ず出てくる。亡くなる方はどれくらいの数だと見込まれるのか。どれくらいの数なら亡くなってもしかたないと許容するのか。全国で毎日、数十人程度の新規感染者が出てもよいという判断には、実は厳しい倫理的判断が必ずセットになっているはずだ。
そういう判断をすべきでないと言いたいのではない。
私たち国民ひとりひとりが、何についてどういう判断をしたのかということを自覚できるような形で、「私たち社会のゴール」は議論され、決定されるべきではないかと言いたいのである。

この長いstay at home期間から、再び立ち上がって大きな活動の流れに飛び込んでしまえば、こういうことはすぐに忘れてしまうかもしれない。今、書き留めておく。

今日のごはん
家族そろっての在宅お昼は、豚肉の冷しゃぶ・ゆでキャベツ・かぼちゃの直がつお煮・ひじきと豆腐とたまごの中華スープ。
夜は何にしようかな。

今日のメンテ
正確には今日ではないのだけど、そろそろ在宅期間終了も見えてきたので、週末はいろいろ家のメンテをした。
築年数もかなり行ってる古い賃貸に、もう10年以上住んでいるため、さすがにあちこちガタが来ているのだ。
異音が酷くなった2006年製のエアコン、流れが怪しくなってきた台所の排水管*10、そしてスイッチがイカれた流し上のライト。
大家さんが迅速に手配をしてくれたおかげで、エアコンは後日交換、排水管はパッキンやらアダプタの交換も含めてすっかりきれいになり、ライトは即日交換。
これで後顧の憂いなく、通勤生活に戻ることができそう*11