再びの緊急事態宣言

 さすがに予想はついていたけれど、大都市圏を中心に感染者数増加に歯止めがかからず、ついに今日、首都圏の1都3県を対象に、再び緊急事態宣言が出される見込みとなった*1

 期間は2月7日まで。西村担当大臣の5日の会見によると、その根拠は「対策を2週間やり、効果を2週間みるのが基本的な考え方。(効果を)1週間みるというのもあり、3、4週間がセッションとしてひとつの期間」ということらしい*2
 ネットでは、日付で区切ることへの批判も見られたが*3、緊急事態宣言には、緊急事態措置を実施すべき期間(2年を超えてはならない)等の公示も含まれる*4。期間を指定しなければならないことは法律で決まっているのだから、これはしかたない。2月初めに特措法改正も予定されていることでもあり、あまり長い期間を指定するわけにもいかないだろう*5
 緊急事態宣言の解除条件としては、1週間の感染者数や病床使用率等の6つの指標を総合的に判断して、感染状況のステージ4を脱却することを基準とするらしい*6。「総合的に判断」というあたり、政府の都合で恣意的で強引な判断が行われないかという不安は残るが、前回の緊急事態宣言では、解除条件が話題になり始めたのが宣言後だったことを考えると*7、政府のコミュニケーションとしては少し進歩しているのではないかと思う。

 気になるのは、緊急事態宣言の効果である。京大の西浦先生は、今回想定されている活動制限(飲食店などの制限に限られている)だけでは、1ヶ月では感染者は減らず、緩やかに上昇するか、ほぼ横ばいにしかならないという試算をされている*8。より厳しい社会活動制限に取り組まなければならなくなることも覚悟しておくべきかも知れない。
 もっとも、前回もそうだったが、緊急事態宣言という「言い訳」ができると、我々サラリーマンは速やかに自粛体制に移行しやすい。実際、都内では、仕事始めの出勤時の人出はほぼ半減したというし*9、蓋を開けてみれば、それなりの社会活動制限が達成できた、ということになるといいのだが。西浦先生の(あくまで現時点での)シミュレーションより早く感染者が減っていったとしても、それは喜ぶべきことであり、西浦先生が非難されるようなことがないよう願う。

 どうにかこうにかステージ3に下がったとしても、そこからまたステージ4に進んでしまう危険性は十分に高い。個人的には、もっと思い切り感染者数を減らさないと、すぐに元の木阿弥になるのではないかと思うが、分科会と諮問委員会の専門的な意見を待ちたい*10

 今日の東京の陽性確認数は2447人。全国でも7000人を超えて、過去最多更新が続いている。なんとか早く、今の爆発的な感染拡大は食い止めたいところだ。

*1:緊急事態宣言 1都3県で2月7日まで 政府方針を諮問委員会が了承 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

*2:緊急事態宣言、感染ステージ下がれば解除も視野=西村再生相 | ロイター

*3:[B! COVID-19] 緊急事態宣言 期間は8日から2月7日までで最終調整 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

*4:新型インフルエンザ等対策特別措置法 | e-Gov法令検索 32条1項、2項

*5:期間中であっても緊急事態解除宣言をすることはできるが、「緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認めるときは」という条件がついている(特措法32条5項)。「必要がなくなったと認めるとき」の解釈が面倒になりそうだし、今の特措法に基づく期間の終了後、改正特措法に基づく宣言を改めて行う、とする方がスムーズなのではないかと思う。

*6:緊急事態宣言解除にはステージ4脱却 6指標を総合判断: 日本経済新聞

*7:緊急事態宣言 解除の条件とは? 新型コロナ | 特集記事 | NHK政治マガジン

*8:「飲食店の制限だけでは1ヶ月で感染者は減らない」 8割おじさんが厚労省“非公開”のシミュレーションを公開

*9:仕事始め、出勤半減 企業が自衛の動き : 日本経済新聞

*10:自民党の観光立国調査会は、緊急事態宣言解除後に「Go To トラベル」を速やかに再開すべきだと政府に提言することとしたらしいが、それはさすがに無理なのではないかと思う。腰を据えて大規模な補償を見当すべきではないか。宣言解除後にGoTo再開を 自民調査会:時事ドットコム