ブライダル用の下着というものがある。一生に一度のドレス姿を、美しいが上にも美しく見せるための(と言っておこう)、要は補整下着。年末に、こいつを買いに行った。
一生に一度のものだけあって、大層なお値段である。しかも種類もさまざま。バスト・ウェスト・ヒップの3パーツを、いかに見栄えよく整え・押し込め・引き上げるか、という目的のもとに、とりどりの組み合わせがあるのだ。
お店のお姉さんの言うとおりに全部買っていたら、古着の着物に帯までつけて買えてしまう。お尻はまだそれほど危機的状況に達していない(と思う)ので、ガードルは手持ちで済ましますと店員さんを言いくるめた。そして、ブラジャーとウェストニッパー一体型のものを一着買うことに。
試着をするにあたり、当然ながらバストのサイズを聞かれる。ところが、年頃の女子としてあるまじきことに、最後にきちんとサイズを測ったのは2年前だ。「確か○×△・・・だったと思うのですが、何しろ測ったのが1年前で」とカミングアウトし(1年ほどサバを読んでいるが)、測り直してもらった。
驚いたことに、お姉さんが口にしたのは、私が思っていたのより2サイズも上だった。「今まで苦しかったでしょう」と言われる。そういえばそんな気もする。体重は増えていないどころか、むしろ減っているし、ウェストのサイズは変わっていないし、これは喜ばしいことには違いない。おほほほ。
それはさておき、生まれて初めて補整下着なるものを着けてみて、その補整能力には驚いた。その日はぴったりめのセーターを着ていたので、なおさら差が際だつ。書き忘れていたが、母も同行していたので、見てもらったら目を丸くしてびっくりしていた。この衝撃をどう表現するか、あえて言うなら「詐欺」だろう。
ウソも方便ということで、このお下着をいっちょうお買い上げ。
もっと苦しいものかと思っていたが、生地に伸縮性があるので、それほどでもない。スカーレット・オハラがマミーにコルセットを締め上げられていた時代を思えば、これくらいなんてことはないだろう。
とはいえ、当日にはいつもの調子で飲み食いするわけにはいかなそうである。花嫁は食べられないものだと聞いていたが、その秘密はこんなところにあったか。