衣装選び♪

土曜の夜は実家で焼き肉。日曜はアップルストアiMac G5に触って遊んだのち、引き出物探し&指輪下見。


月曜はいよいよお楽しみの衣装選び。  

衣装店の店員さんは実に褒め上手だ。まず、こちらのことは徹底して「お嬢さま、お嬢さま」である。これで気分が一気に舞い上がる。ついで、「お嬢さまはお顔だちが優しいので」「お嬢さまは華奢でいらっしゃるから」などと、フォントを2倍にして太字で書き残しておきたくなるような褒め言葉を連発してくれる。いつものジーパン・Tシャツ姿は世を忍ぶ仮の姿で、実は私はお姫さまだったんじゃないかという気がしてくる。


セレブ気分のにわかお嬢さまが、いったいどうやってドレスを着るかというと、これはちょっと人様にはお見せできない。まずパニエ(ドレスのスカート部分をふくらませるためのペチコート。布が幾重にもなっている)をつけると、「ではその場におしゃがみくださいね」と言われる。よいしょとしゃがむと、上からすぽりとドレスをかぶせられる。そして、井戸から出てくるお菊さんよろしくヌッと首と肩と腕を出すのだ。それから背中をとめてもらって、「どう?」と相手の前に現れる。そのたびに違う反応を要求される新郎の苦労は察するに余りあるが、こちらはファッションショー気分で実に楽しい。


私は身長152センチのちびっこなので、履く靴は11センチの底上げがしてある。

そして、転ばないように、ドレスを内側から蹴るようにして歩くのだという。楚々と歩を進める花嫁。そのドレスの下で、こんな勇ましい足さばきが繰り広げられているなんて、これまでちっとも知らなかったぞ。


あらためて衣装店の待合室を見回すと、ほとんどが花嫁側もしくは双方のご両親同伴である。我々のように二人で気楽にコーヒーを飲んでいるカップルはまずない。どこもご母堂の熱の入れ方がすごい。

 ドレスを選んでいるときも、こちらの担当さんが我々に勧めているのを見たよその母上が、横から「あら、それもいいわね」などとおっしゃる。我々が振り向くと、その母上は「どうも他の方のがみんなよく見えちゃって」と優雅にお笑いになる。こちらも「おほほほ」とセレブらしく笑いつつ、そのドレスはがっちりキープしたのであった。


事前に「私こんなの一瞬で決めるから」と宣言していたのに、結局ウェディングドレスは5着ほど、カクテルドレスは4着ほども試着してしまった。しかも最終的に2着ずつに絞っても、さらに悩むハメに。あとで写真を見たところ、着たときの印象はおとなしめかな、というもののほうが写真映えがして、文句なく決まる。


「別に小物になんかこだわらないもん」などと豪語していたくせに、「やっばティアラくらいは買っちゃおうかな~」などという気になっているし、「もしかしてベールも選んだほうがいいのだろうか」という気にもなっている。だいたい、「ティアラ」だの「マリアベール」だの、ウェディング用語というのは乙女心をくすぐるようにできているのだ。


しかし、目に星を入れているバヤイではない。公私ともども、本当に気合いを入れてやらなければならないことが山積み。