はてなダイアラー絵本百選・サンタクロースってほんとにいるの?

はてなダイアラー絵本百選、54番目の絵本のご紹介です。(id:ryan2さん、ふってくれてありがとー♪)


サンタクロースってほんとにいるの?
てるおか いつこ すぎうら はんも
福音館書店
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私が子どもの頃、とってもらっていた「かがくのとも」の一冊です。


「サンタクロースってほんとにいるの?」と思った懐疑主義の子どもたちが、お父さんとお母さんを問いつめていきます。

お父さんとお母さんは、「サンタクロースは、いる」という立場で、子どもたちの質問に反論します。


どうして おとうさんや おかあさんには こないの?


こどものときに たくさん もらったからね


じゃ、どうして としとって しなないの? むかしから いるんでしょ!?


サンタのこどもも そのまたこどもも サンタになったんだろ


子どもたちの「なぜ?」は続きます。

どうやって ひとばんで せかいじゅうを まわれるの?

どうして そんなにたくさん おくりものが できるの?

みなみのくにでは どうするの? ゆきがなければ ソリは つかえないよ


あなたなら、どう答えますか?

お父さんとお母さんたちは、自分たちで考えた理屈を説明していきます。

どれも、なるほど、と思わせられるものばかりですが、子どものころ、いちばん心に残った答えは、この質問に対するものでした。

こないうちもあるのは なぜ?

答えは本書で探してみてください。



「サンタクロース」という“非科学的”な題材を扱っていながら、この本がどうして『かがくのとも』なのか、大人になってやっとわかりました。

まず「なぜだろう」から始まり、その理由を考える。

そして「もしそうだとしたらどうなるだろう」と考える。

こうやって、ずっと考え続けていく姿勢そのものが、『かがく』の原点なのですね。


実際の科学の現場では、「なぜ」に対して、立証によって答えを出していくことこそが醍醐味で、そしてそれはとても難しいことです。

しかし、そもそも「なぜ」がなくては科学は始まらないのです。


本書の主人公である子どもたちは、こうして培われていった論理性で、やがて将来、サンタクロースの存在に答えを出すことができるでしょう。

たとえその答えが「いない」であったとしても、そのころにはきっと、科学が導いた結論に耐えられるだけの精神的強靭さをもちあわせていることでしょう。

なぜならその答えは、自分の頭で考え、それを他人にぶつけ、さらに自分で考え、という繰り返しに鍛えられて得られるものだからです。


そのような成長の過程に寄り添うことができる親になりたい、と読むたびに思う本です。


絵本百選の次のバッターは、いつも素敵な絵本を紹介してくださるid:orange-bagelさんにお願いします!