というわけで、ひどい体調のまま、ゲストコメンテーターとして参加してまいりました「21世紀型科学教育の創造」ワークショップ@科学技術館。Wさん、お声がけありがとうございました。
今回は、「キャリアを拓く科学教育」というテーマでした。
午前中の基調講演3題は、どれも非常に示唆に富み、おもしろかったです。
特に、情報研の新井紀子先生のお話が素晴らしかった。(ほかのお二人が劣る、という訳ではありません)
NetCommonsの開発者でもいらっしゃる新井先生は、実に聡明で、お綺麗で、すってき~☆な方なのですよ(集合写真でお隣に並んじゃったー♪)。
「どうして数学(算数)なんかやらなきゃいけないの?」という問いに対して、多くの教師が与えるだろう答え「論理的思考力を養うため」。
これに、まずツッコミを入れられました。
1.論理的に「読み解く」力(状況を正しく、もれなく読み取る。同等の異なる表現に置き換える)
2.論理的に「考える」力
3.論理的に「表現する」力(アイディアを式や証明に書き下す。論証のあらすじを考える。普遍的な表現、わかりやすい表現であらわす)
の三つが大事である、と。
そして、現在の数学教育の問題点を
日常の課題を解決するための数学になっていない(「問題のための問題」になっている)。
日常の言葉で表されたものを、科学の言葉に置き換える練習をたくさんやるべし。
と喝破されました。
その上で、論証はスキルなので、繰り返さないと身につかない、とのこと。「なんで同じような練習問題を何度もやらなきゃいけないの?」という問いに、ちゃんと答えてくださっている。
さらに、最後に「リテラシー(科学の)とは」ということについて、また胸のすくような一言が。
リテラシーとは、「知ってほしいことを並べたてること」でもなく、「科学の重要性を社会に認めてほしいという主張」でもない。
21世紀を生き抜く子どもに、何を「きびだんご」として渡すか、を大人として考えることだ。
大向こうから声をかけようと思いましたね。
なぜかというと、科学リテラシーを声高に叫ぶ人たちの、「賢い俺(私)たちが、馬鹿なお前たちに教えてやらなきゃ」的な、あるいは「科学のおもしろさを“私が”教えてあ・げ・る」的な態度が、常々気に食わなかったからです。
どちらにも、鼻持ちならない思い上がりが感じられるから。
(「科学をネタに一緒に遊ぼうよ」ってのは好き。id:kasokenさんとか、でんじろう先生とか)
新井先生のおっしゃることには、うわずった優越感も、極端な悲観もなく、ただ着実に未来を切りひらくための意志のみが感じられます。
「大人として」という一言に、それは表れている。
・・・と、ここまででずいぶん長くなったので、私がゲストコメンテーターとして参加したグループディスカッション「科学系人材育成におけるキャリア教育・企業が求めるポスドク像」については割愛します。こちらもなかなかおもしろかったんですけども。