母乳と虫歯の関係について調べていたところ、気になる論文を見つけたのでメモ。
「Characteristics of Breast-fed Children with Nursing Caries (授乳う歯のある母乳哺育児の特徴について」(リンクはPDFが開きます)で、東京歯科大学紀要より。
よく、母乳をいつまでも飲んでいると虫歯になる、と言われるが、いっぽうで、母乳に含まれる乳糖は、ショ糖とは違って虫歯の原因にはならない、という説もある。
どっちが本当なのかなーと思っていたのだが、この論文によれば「寝るときのおっぱい」が大きなリスクファクターであるとのこと。
105人の子どもを対象に調査している。
まず、1歳半のときに口腔衛生に関わる習慣を調査。そして、彼らが2歳になったとき、虫歯ができているかどうかを調べた。
口腔衛生に関わる習慣は、次の5項目を調べている。
1.就寝時の母乳
2.お菓子の摂取(週に3回以上か? それとも2回以下か?)
3.甘い飲み物の摂取(週に3回以上か? それとも2回以下か?)
4.歯磨き(ときどき? それとも毎日?)
5.口腔衛生状態(汚い? きれい?)
上記5項目の中で、2歳時における虫歯の有無に明らかに関連していたのは、1歳半時における「就寝時の母乳」そして「口腔衛生状態」だった。
意外にも、甘いものの飲食や歯磨きの習慣は、虫歯の有無にあまり影響しないようだ(あくまで2歳までの話だが)。
それにしても、「就寝時の母乳」というファクターがすごい。
1歳半で、就寝時に母乳を飲んでいた子が55人、そのうち2歳になったときに虫歯ができていた子の割合は、なんと32.7%!
いっぽう、1歳半で就寝時に母乳を飲んでいなかった子は50人で、そのうち2歳になったときに虫歯ができていた子の割合は、わずか4%。
虫歯生成につながる口腔内pH低下や、虫歯菌増殖に対する母乳の影響については、いろいろと議論が分かれるみたいだけど、この結果を見ると、ちょっと戦慄してしまうなあ。
ちなみに、娘はまだおっぱい星人ではありますが、いちおう寝ている間はおっぱいなし、ということにしております(最近)。歯磨きはなぜか好きなので、いちおう毎日。
寝る直前にもお茶かお水で口の中を洗ってやった方がいいかなあと思えてきたけど、そんなことが可能なのかどうか。
(この論文にも、「安心を求めて母乳を飲む子どもに対し、寝るときのおっぱいをやめさせたり、おっぱい後に口を洗ったり、ということを勧めるのは、不当かつ非現実的」とも書いてある)。