「あるある」で捏造

空前の納豆ブームを引き起こした「発掘! あるある大事典II」で捏造があったという。


番組サイトに公表された「お詫び」を読むと、これはむちゃくちゃだなあ。

実験の結果をいじるならまだしも(って、もちろんこれも言語道断だけど)、やってもいない実験や測定の結果をでっちあげたり、存在もしなかった「教授発言」をでっちあげたり。

私はその回を見ていなかったからわからないのだけど、米国人の教授がしゃべっている内容とまったく違う日本語訳をつけたってこと?

すぐバレるに決まっているのに。

バレたらとんでもない事態になることは、すぐに想像がつくだろうに。

倫理観を疑うのは当然として、その知性の程度も想像がつかない。

不二家の事件もそうだけど、隠蔽や捏造が発覚したときのリスクと正直に行動することのリスクを秤にかけるってことをしないのだろうか。


もともと、この番組の「実験」とやらは突っ込みどころ満載で、これを批判させる訓練をしたら、さぞや良い理科教育になるんじゃないかと思われる。

しかし、以前のエントリにも書いたように、消費者が求めるのは、この番組式のわかりやすさであり、会社がわれわれ研究員に求めるのも、「“あるある”みたいにわかりやすいプレゼンができる」結果であったりする。そこがつらいところ。

そんな結果が出たら、ものすごい大発見になるだろうし、そうホイホイと大発見ができるわけでもない。

地味な結果を少しずつ積み重ねていって、「こうかな? こうかな? こうだ!」と追い詰めていくのが、多くの科学の現場で行われていることのはずだ。


あまりに安直な「わかりやすさ」の追求、性急な成果の要請は、いろいろな現場で捏造を生み出すことになるんじゃないか・・・というのは、ありきたりな結論なのだけど。

もっと深く考えないといけないのだけれど、とりいそぎ、言及だけ。


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いつ消えるかわからないので、番組サイトの「視聴者への皆さまへ」を以下にコピペ。


2007年1月20日

視聴者の皆様へ


1月7日(日)午後9時~9時54分放送の「発掘!あるある大事典II」第140回「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」におきまして、番組内容に事実とは異なる内容が含まれていることが判明いたしましたので、お詫びを申し上げます。視聴者の皆様の信頼を裏切ることとなり誠に申し訳ございませんでした。

事実と異なる内容につきましては以下のとおりでございます。


1. アメリカのダイエット研究の紹介におきまして、56人の男女を集めて、実験をしており、被験者がやせたことを示す3枚の比較写真が使われておりますが、この写真について被験者とは無関係の写真を使用いたしました。


2.テンプル大学アーサー・ショーツ教授の日本語訳コメントで、「日本の方々にとっても身近な食材で、DHEAを増やすことが可能です!」「体内のDHEAを増やす食材がありますよ。イソフラボンを含む食品です。なぜならイソフラボンは、DHEAの原料ですから!」という発言したことになっておりますが、内容も含めてこのような発言はございませんでした。


3.番組で実験を行った8名の被験者について、放送では「中性脂肪値が高くてお悩みだった2人は、完全な正常値に!」とコメントし数字をスーパーしておりますが、コレステロール値、中性脂肪値、血糖値についての測定は行っておりませんでした。


4.あるあるミニ実験として、納豆を朝2パックまとめて食べた場合と、朝晩1パックずつに分けて食べた場合の比較実験ですが、血中イソフラボンの測定は行っておらず、比較結果は架空のものでした。


5.番組で実験を行った8名の被験者について「体内で作られるDHEAは20代をピークに減少、食べ過ぎや運動不足によってDHEAの量が低下している可能性があるのだとか!20代から60代の男女8人の血中DHEA量を測定。さて結果は?」として22歳OL、25歳会社員、37歳会社員のDHEA量を測定し年齢の基準値と検査結果をテロップ表示で比較をおこなっておりますが血液は採集をしたものの、実際は検査を行っておらず、数字は架空のものでした。また、ここで使用している「DHEA分泌は加齢とともに低下する」ことを示したグラフは許可を得ずに引用いたしました。

また、アメリカのダイエット研究の紹介部分について、あたかもテンプル大学のアーサー・ショーツ教授が行った研究と受け取られる構成になっておりました。この研究はワシントン大学のデニス教授の研究であります。

尚、1月21日(日)放送につきましては休止いたしますのでご了承ください。

以上