前回のエントリのあと、事態に少し変化があったようである。
まず、株式会社ユーメイドから、具体的な経緯の説明とお詫びが発表された。
それによると、ユーメイド社は、事前にツイッター社に企画趣旨と発刊可否の確認をメールで問い合わせており、それに対して以下の返答があったとのことだ。
たいへんお世話になっております。このたびはご連絡をありがとうございます。
Twitter上のツイートを書籍などに利用される場合のガイドラインはこちらとなります。
https://support.twitter.com/articles/277644-#
こちらに沿った使い方をされるのであれば、まったく問題はありません。
また、タイトルなどをお決めになられる際、購入される方にTwitter, Inc.
の書籍ではないということがわかるようにしていただけると幸いです。
サービス名などの利用に関してはこちらをご参照くださいませ。
他にもご不明な点がありましたら、ご遠慮無くお申し付け下さいませ。
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つまり、Twitter社はTwitter上で発信されたコンテンツを第三者が書籍等に利用する場合、「ブロードキャストでのツイート利用に関するガイドライン」に沿った使い方をするのであれば問題はない(ガイドラインの文言によれば「Twitterに連絡をする必要は」なく、「オリジナルのコンテンツ作成者の許可なしに」利用してよい)と考えているようである。当該ガイドラインにおける「ブロードキャスト」に書籍等も含まれると考えてよいことになる。
ユーメイド社は、「本返答に基づき、弊社ではツイートの利用には問題がないと判断し、ガイドラインに沿った形で書籍化を進めるに至りました」と述べている。
しかし、前回のエントリでも述べたように、このガイドラインにおいては、「すべきこと」として、各ツイートにユーザーの名前とユーザー名(@ユーザー名)を表示することが明示されている。
そして、ユーザーの正体を削除、ユーザーを特定する情報を削除、改ざんしたり、不明瞭にしたりすることや、ツイートを匿名のまま掲載すること(ユーザーの安全性が懸念されるような場合を除く)は、「してはいけないこと」として明確に禁じられている。
今回のケースは、このガイドラインに準拠しているようには見えない。
したがって、今回のケースにおいて自らのコンテンツを不適切に利用されたと感じたユーザーの皆さんが、この説明とお詫びで納得されるとはあまり思えない(実際、当事者ユーザーのおひとりである@toppinpararinさんは、ユーメイド社に質問されたそうだ。“「アホ男子かるた」出版の件について。 - ユラフラグラのくに”(もっともこの質問の趣旨については、「Twitter社がそう決めたから」という答えにしかなりようがないと考えられるので、「ガイドラインに準拠していない」という点について問い合わせた方がよかったと思う))。
ユーメイド社は、改めて各ユーザーに個別の許諾を得た上で、書籍の出版に取り組みたいと考えているようだが、「なぜ、当初問題となった書籍の形でガイドラインに準拠していると判断したのか」について、もう一歩踏み込んだ説明をした上で理解を求めるようにしたほうがいいのではないか。
なお、このようなトラブルを未然に防止するためにも、Twitter社の日本法人は、日本の著作権法を考慮した「Twitter上のコンテンツの利用」に関する具体的な規約(必要であれば実例も添えて)を作成し、周知を図っておくべきだとも思う。
<追記>
あとあと!
もし著作権まわりで「他人の著作物を利用するにあたって、このまま進めていいのかな」「自分の著作物が不本意な利用のされ方をしていると思うんだけど、これっておかしいって言っていいのかな。どういうふうに(どういう問題に絞って)相手と交渉したらいいのかな」と思うことがあったら、弁護士さんに相談するもよし、ですが、弁理士(特許、実用新案、意匠、商標だけでなく、著作権にも詳しいです)にも相談してみてくださいね。