「女の子との会話のしかた」的な記事って、おんなじような内容が繰り返し出てくるなあ。
最近では、これ。
このコラムを要約すると、
・解決策を提示するな(「女の子」は話を聞いてほしい)
・一般化するな(「女の子」は特別扱いしてほしい)
・自分の話をするな(「女の子」は女の子自身の話を受け止めてほしい)
ということになる。
このテの「女の子は○○だから、こう対応しろ」的な記事は、読むたびに不思議に思うことがいくつかある。
きちんと話を聞かないで、解決策が提示できるのか?
「女性は共感を求めるが、男性は結論と解決策を求める」
という言説は、もはやソースもわからないくらい流布しているようですが、ホンマかいな。
しかも、「科学的な裏づけ」として、「男脳、女脳」の違いが引用されたりする。男女問わず、自分は「男脳」だと自負する人は、妙に偉そう。
この言説の真偽は措いて、そもそも、きちんと話を聞かないで、どうして「結論や解決策が提示できる」と思えるんだろう?
ある問題について対話が行われるとき、その問題について多くの情報をもっているのは、問題を提起したほうのはず。
話題を提供される側(聞き手)は、まずその話題についてじっくり聞き、情報を共有するところから始めるのが、まっとうな態度じゃないか?
わからずやの上司に、何か問題提起をした場合のことを考えたらわかる。
あなた「今進んでいる案件について、ここでつまづいているのですが・・・」
上司 「ああ、それは○○に問題があるんじゃない?」
あなた「いえ、そうじゃなくてですね。○○は問題ないんですが、△△がうまくいかなくて」
上司 「△△? そんなはずないだろう」
あなた「いえ、それがうまくいかないんです」
上司 「結局、どうすべきだと君は考えるんだ。結論を言いなさい」
あなた「いえ、どうすべきかの答えが出ないので、状況をご理解いただいた上で、ご意見をうかがいたいんですが」
「まず話を聞けよ」と思うんじゃないだろうか。
多くの場合、話し手がイライラするのは、「共感してもらえない」ことじゃなくて、「もっている情報を相手と共有できない(だから話が進まない)」ことじゃないかと思う。
少ない情報で答えを出して「あげよう」なんて、おこがましいにもほどがある。
脆弱な思考力を露呈していいの?
よく知らないこと、わからないことを考えるには、「わからないまま考え続ける」必要がある。
答えが出ないこと、結論が出ないことに耐え続ける、強靱な思考力が必要になる。
「すぐ理解したい」「すぐ答えを出したい」「すぐ解決したい」という姿勢は、しばしば浅知恵にとどまって、本質的な解決にはつながらない。
女性には、答えが出ないことをまるごと思考し続けることのできる強靱な思考力が備わっている。
しかし、男性は、すぐに答えが出ないことに耐えられず、今もっている自分の考えを“かっこに入れる”ことができないほど脆弱な思考力しかもたない。
したがって、真に知的生産活動に向いているのは女性である。
「男性はすぐ解決策を求める」という言説を、こういうふうに言い換えたら、それでも納得するのかな。
とりあえず、現象に名前をつけて、タグをつけて、自分のもっている引き出しに分類して、それで「わかった」気になる。
そして、手持ちのマニュアルに載ってる「解決策」になんとか当てはめて、処理した気になる。
・・・なんかすっごくあたま悪そうだけど、ほんとに男性って「みんな」そうなの? 私は違うと思う。
一般化できる能力があると思い込んでいるけど、ほんと?
一般化、一般化って、なんでも一般化すりゃ賢いってもんじゃないと思うけど。
そもそも最初から「女の子は○○だから・・・」と一般化したつもりになっているが、この話題(会話の仕方)は男女を超えたコミュニケーションの方法に、さらに一般化できる。
あたりまえだけど、女の子の話が聞ける人は、子どもの話も、同僚や上司の話も、老人の話も聞ける。
まず「(男性とは違う)女の子だけ」に通用するハウツーがある、という仮説を立てたことがそもそも誤り。
次に、「これらが女の子の共通点だ」と認識したポイントが誤り(女の子もいろいろだよ/男の子にも当てはまるよ)。
最後に、「こうすればうまくいく」と思い込んでいることが誤り(「ただ共感してやればいいんだろ」的な態度は、すぐ見抜かれるよ)。
「女の子とは・・・」を語る前に、何が特殊で、何が一般化できるかを正確に見極められる程度に頭を整理した方がいいんじゃないだろうか。
自分の話? ウェルカムだってば、場合によっては
「女の子は自分自身の話をしたいのだから、男性自身の話は求めていない」
んなこたーないでしょうよ。
自分の参考になるなら、話し相手の体験談は大歓迎。
「男性は」目的のない話はしないんでしょ?
だったら、自分の話が相手の相談内容にどう役立つかぐらいは示したら?と思う次第。
それができないんだったら、単に自分のためにおしゃべりしたいだけにすぎない。
そうでなくても、好きな相手の話だったら、どんな無駄話だって聞くよ。
自分の話を聞いてもらえないとしたら、相手に好意をもってもらえてないか、自分の話し方が悪いか、どちらかだと思う。
それを「女の子は自分の話をしたいだけ」と相手のせいにしたら、嫌われるだけではないだろうか。
(これは、立場を逆にしても成り立つかな)
誰かと仲良くなるときは
その人と仲良くなりたかったら、その人をまるごとそのまま見たらいい。
何考えてるのかわからなかったら、何を考えているんだろう?って見て、聞いたらいい。
その人のことを知りたい、という気持ちがあれば、それだけでいい。
知りたいと思う気持ちは、好意であり、愛だ。
その人に対して好意がもてないのに、適当に「解決策を提示」して「教え諭して」やろうと思うのは、単にその人を踏み台にして自分が優越感をもちたいだけだ。
「女の子」のことを優越感ゲームの相手としか見ていない男性は、悪いけど、ちょっとおバカさんに見える。
誰かを好きになることや尊敬することがどんなことか知らないなんて、薄っぺらだなあ、と思う。
「女だから」○○、って考える男性は、ほかのことについても、似たような浅薄な考えと乱暴な態度で臨むんだろうなあ、と思う。
性差別主義者が嫌われるのは、性差別をするからじゃなくて、性差別主義者であることから推測されるそのほかの人間性が嫌われるからじゃないのかな?