インフルエンザにご注意を!

 先週末、インフルエンザで寝込んでいました。

 娘は私に先立って高熱を出しましたが、インフルエンザとの診断は、その時点では出ませんでした。


 1月31日(土)

  夜中にぞくぞくと寒気が走り、全身の痛み。


 2月1日(日)

  明け方ごろ発熱(38℃)。

  一日中寝込む。とにかく頭痛がひどい。鼻水もひどい。熱は最高で38度6分。

  娘の面倒は全面的に夫に見てもらう。


 2月2日(月)

  午前中、病院へ。インフルエンザ検査キットで検査したところ、くっきり「A型」のところにラインが。

  A型はタミフル耐性ウィルスが蔓延しているそうで、あっさりリレンザを処方された。薬局で吸入方法を指導してもらって服薬。

  夕方には平熱に下がる。頭痛はひどい。

  保育園のお迎えは母に頼み、夕食と風呂は私。


 というような経過でした。完全に復調するには、結局一週間近くかかりました。

 頭や体の痛みが尋常じゃないので、ふつうの風邪じゃないなあというのは、すぐわかりました。

 リレンザの効き方の切れ味には驚嘆しましたが、私は予防接種を受けていたので、症状が軽く済んだのかもしれません。


 今回の症状でもけっこうつらかったのに、大流行(パンデミック)が警戒されている強毒型の新型インフルエンザだといったいどうなるのか。さすがにちょっと怖くなりました。

 1918年から1919年にかけて、全世界に広がった「スペインかぜ」の症状はどんな感じだったのでしょう。

 宮本百合子の「伸子」という小説では、主人公の伸子が留学先のニューヨークでスペインかぜに感染します。


 それを云おうとしたが声が出ない。また寝がえりをしなおそうとしたはずみに、百尺もあるところを墜落したように頭が痺れた。再び混沌が来た。悪寒はやんだ代りに高い熱と痙攣が起こった。

 体が妙に突き上げるような不可抗力でヒクリ、ヒクリ、そり返る。体じゅうしゃくりをする。伸子はそのたびに悲しげな、断れ断れな叫びを上げた。彼女は何かにしっかり捉まりこの苦しい疲れる衝動を制したかった。しかし何処にも手応えがない。頭の裡も外もフラッシュライトに取り巻かれているように一面の光の渦巻だ。その光の海は絶えず揺れる、閃く、走り廻る、いそがしい。明るい、明るくて苦しい。

 「疲れるわ、わたし・・・・・・眠らせて。眠らせて」


宮本百合子 「伸子」 (新潮文庫)


 宮本百合子は実際の自分の体験をもとに書いたと考えられるので(「獄中への手紙」等より)、あくまで小説の描写であるということとを割り引いても、なかなか重篤な病状のようです。


 2007年、東京大学・医科学研究所の河岡義裕先生らのグループは、このスペインかぜウィルスを人工的に再現し、サルに感染させる実験に成功しました(→詳しい解説はこちら)。

 ふつうのインフルエンザと、スペインかぜのように全世界に大流行するインフルエンザでは何が違うのか。大流行するウィルスの毒性のもとはなんなのか。解明が進んできています。(スペインかぜは、それでも弱毒型です)


 また、つい最近、国立感染症研究所を中心とするグループが、さまざまなタイプのインフルエンザに効くワクチンを開発し、動物実験での効果を確認しました(→インフルエンザ、万能ワクチン開発…厚労省研究班)。ただし、ヒトでの安全性はまだ確かめられていません。


 このように、近い将来の大流行がおそれられているインフルエンザについての研究は着々と進んでいます。

 でも、やはり一番大切なのは、個人個人ができる予防、すなわちうがい、手洗い、マスク、そして予防接種でしょう。

 集団生活をしている小さい子供がいると、家族に広がるのを予防するのはなかなか難しいですが、来年はがんばって感染を食い止めたいと思います。


 まだ全国的にインフルエンザは猛威を振るっているようですので、皆さんもどうぞお気をつけて!