イグ・ノーベル賞:26歳山本さん、化学賞受賞 牛ふんからバニラの香り
牛糞からバニリンという香料を抽出することに成功した山本麻由さんが、今年のイグ・ノーベル賞の化学賞を受賞したというお話。
牛糞1グラムから、50マイクログラムも取れるって、けっこうすごいのでは。しかも水抽出!
植物の中に含まれる香気成分だから、植物を食べる動物の排泄物からとってこよう、という発想が素敵。
ちなみに、CNNのニュースサイトにあった記述が笑えた。
牛の糞ときいて、会場からはどよめきが起こった。壇上では、牛の糞から抽出した香料を使った「バニラ」アイスクリームが歴代のノーベル賞受賞者に配られ、教授らは意を決して口にしていた。
ちゃんと口にするところが偉い。
以下、毎日新聞の記事。
イグ・ノーベル賞:26歳山本さん、化学賞受賞 牛ふんからバニラの香り
◇「食物には向かないかも」
【ケンブリッジ(米マサチューセッツ州)和田浩明】人を笑わせ、考えさせて科学への興味を誘う研究などに毎年贈られる「イグ・ノーベル賞」の化学賞を日本人研究者の山本麻由さん(26)が受賞し、ハーバード大学で4日授賞式が行われた。日本人の同賞受賞は12件目。ウシの排せつ物からバニラの香り成分「バニリン」を抽出した研究が対象。山本さんは「受賞は廃棄物の活用法を知ってもらえるよい機会。ただ、この方法で抽出したバニリンは食物には向かないかも」と語った。
山本さんは国立国際医療センター研究所の研究員だった04年に今回受賞した抽出方法を開発した。牛ふん1グラムに水4ミリリットルを加え200度で60分間加熱すると、1グラムあたり約50マイクログラム(マイクロは100万分の1)のバニリンが抽出できた。
バニリンは樹木などの木質成分「リグニン」から生成するため、馬ややぎなどの草食動物の排せつ物も利用可能だという。抽出コストはバニラ豆を原材料にする方法に比べ「およそ半分」(山本さん)。シャンプーやロウソクの芳香添加物などの応用が考えられる。
授賞式では76年のノーベル化学賞受賞者、ウィリアム・リプスコム氏から同賞の今年のテーマ「ニワトリ」のトロフィーが手渡された。また、山本さんの名が冠されたアイスクリームを壇上のノーベル賞学者らが試食する一幕もあった。
今年の受賞は10分野で▽平和賞(米空軍ライト研究所、敵兵同士を恋に陥らせ士気をそぐ化学兵器の研究)▽言語学賞(スペイン、逆に話された日本語とオランダ語をラットが区別できないことを発見)▽経済学賞(台湾、銀行強盗捕捉装置の発明)など。
毎日新聞 2007年10月5日 東京夕刊