いつも娘と散歩に行くお寺には、古い無縁仏のお墓がたくさんある。
安永、天明といった文字が読み取れるので、ほんとうに古い。
その戒名を読むのが好きなのだが、なかでも幼い子どもにつけられたものが趣深い。
「遊林童女」ちゃん。武蔵野の林を元気に走り、遊んでいた女の子の様子が目に浮かぶ。
「眞香童女」ちゃん。匂い立つような美しい少女だったことだろう。
「隻月浄光童子」くん。聡明で、利発そうな目をした少年だったろうか。少し淋しい印象の名前。
娘を抱いて、散歩の度に彼らに挨拶していたら、なんだかよく知っている子どもたちのような気がしてきた。
娘よ、お友達のぶんも、元気にすくすく育つんだよ。
今日のお寺の帰りには、「蝋梅のお寺はどこですか?」と道を聞かれた。
この地域では有名らしい。