蛍雪時代

昨日、母との京都旅行より戻る。


午後4時ごろ、のんびりと研究室へ。

誰もいないので、iBookで音楽などかけつつ、タンパク泳動用のゲルをつくりはじめる。

途端、ぶちっという音とともに、部屋が真っ暗になった。

そうだ、今日は停電があったのだった。


どうしよう、と思って廊下に出ると、むこうからK嬢らしき人影がやってきた。

「なんか、いろんな機械がピーピー鳴ってて、こわいんだけど」

「とりあえず懐中電灯だよね」


探したが、見つからない。ま、停電は1時間だから、冷蔵庫や冷凍庫は開けないでほっておけばいいや。

K嬢が、こちらの部屋をのぞきにくる。

「ねえ、この音楽、なに? どうして鳴ってるの?」

iBookのバッテリーで、音楽をかけっぱなしにしていたのだった。


混ぜ合わせかけた試薬をほっておくわけにもいかない。

デスクの上に道具をもってきて、iBookのディスプレイの光でゲルをつくりはじめた。

「螢の光」を歌ったら、K嬢がげらげら笑う。

これで異性どうしだったら、何かが起こってるよね、などと言いながら、ゲルをつくり終える。

あとは1時間静置だ。

もう帰る、という彼女といっしょに、お茶を飲みに行く。


戻ってみると、電気は復旧していた。ありがたい。