お父さんの哲学

電車で隣に座った親子の会話。


小学2年生くらいの男の子と若いお父さんが、仲良くおしゃべりしている。エベレストはチョモランマとも言うんだぞ、というような内容で、男子っぽいなあと思って聞いていた。

終点に近づいた頃、男の子は急に黙り込み、お父さんの耳にこそこそっと何かを囁いた。お父さんは普通の声で、

「そりゃあしょうがないよ、お前。怒られるときは怒られるんだ。それが子供の仕事なんだから」

利発そうな男の子はうつむいて、「う~ん…」と唸っている。お父さんは平然と前を向いたまま、

「やれることやったらあきらめろ、な?」

男の子は足をぶらぶらさせながら、「ん~」と考え込んでいる様子。


何をやってしまったのか、小さな心が押しつぶされそうな重荷を抱えているのだろう彼には悪いが、あまりに可愛らしくて微笑んでしまった。そして、理屈が通っているような通っていないような、でも圧倒的な説得力のあるお父さんの台詞に感服。これは、男親ならではだなあ。