プラスミドをとる部屋に、最近ツメガエルの水槽が入った。ふと横を見ると、四肢をだらしなく広げ、中性浮力をとって、ぽかーんと水中で直立している姿がいくつも。毎回ギョッとする。アルビノだから、よけい土左衛門(見たことはないけど)を連想してしまう。
実は分子発生のT先生はカエルが嫌いである由。「仮面の告白ですよ」とK先生がうれしそうに教えてくださった。あのムチムチした太ももが、どうにも生々しくて苦手であるらしい。「でもちゃんと奥さんはいらっしゃるんですよね」と申しあげたら、「また何をわけのわからないことを」と叱られてしまった。
夜は文学座の山谷典子嬢が出演している「ドン・ジュアン」を観に、SMさんと世田谷パブリックシアター。山谷ちゃんは、村娘シャルロット役。「ドン・ジョバンニ」で言うところのツェルリーナに当たるだろうか、とてもかわいくて、フレッシュで、コミカルでよかった。はまり役だ。楽屋におじゃましておしゃべり。つい、女子高のノリに戻ってしまう。
主演は渡辺徹さん。幼児性を秘めた希代のプレイボーイを演じて魅力的だった。爪を噛みながらそっぽを向いて、父親の叱責を受ける横顔が、身近な男性の何人かを思い出させる。
ご飯はスペイン坂で。白ワインを各1杯、牛タンのグリーンソース、フレッシュトマトとバジルのピッツァ、菜の花ときのこのパスタ。思わず駒場時代の女子大生に戻って、おしゃべりに時を忘れたSMさんと私であった。