メニエール病とかいう厄介な疾患についての愚痴

私にはメニエール病という持病がある*1

内耳が水ぶくれを起こすせいで、回転性のめまい、難聴、耳鳴りが連動して、しかも繰り返し起こるという非常に不愉快な症状を呈する疾患なのだが、症状に加えて、さらにいろいろと厄介な思いもしている。

お医者さま方にとっても面倒な疾患ではないかと思うこともあるのだが、それはさておき(申し訳ない)、これはひとりの患者としてただ愚痴を言いたいだけの記事である。

とにかく症状が不快!

症状に加えて……と前置きしておいてなんだが、やはりなんといっても症状がイヤ。とてもイヤ。不愉快極まりない。

まずはめまい。
めまいの発作が起こると、視界がぐるぐる回って立っていられない。
座ってもいられないので、横になる(というより倒れる)しかない。

船酔いのひどいやつみたいなもので、乗り切るのがうまくなかったころは、嘔吐することもしばしばあった。
嘔吐が止まらず、救急搬送されたことも。
いっそ意識を失ってしまいたいと思うくらいなのだが、脳の疾患ではないため、意識は清明で、ただひたすら気持ち悪さに耐えるしかないのである。何の拷問だ。

最近は、聞こえが悪くなってきたり、耳鳴りが大きくなってきたりしたときに、早めに薬を飲んで対処できることも増えてはきた。が、思わぬ時にぐらりと来たりすることもある。
一度めまい発作が起こると、数日ぐらぐらが続くこともあるので、とにかく発作を起こさないことが大事。
常に薬が手放せなかったりするので、著しくQOLが阻害される。

難聴と耳鳴りも不快だ。私の場合は右耳で、だいたいいつも「ザーッ」という音がしている。
内耳の水ぶくれがある程度引いているときは、ほとんど気にならないレベルまで耳鳴りが小さくなっているが、ひどいときには心臓の拍動に合わせるように「ザーッ、ザーッ」と鳴り出し、ほぼ右耳が聞こえなくなることもある。
こうなると、相手の話を聞くためにすさまじく集中力を消耗するため、とてつもなく疲れる。

何度も発作を繰り返したため、私の右耳は低い音がほぼ聞こえない。
私は音楽がとても好きだが、昔と同じように音楽を聴くことはもうできない。
そのかわり、本来はこういう音の世界なのだろうと想像で補うのはうまくなったと思う。古いラジオやレコードを聴くときのように。

診断を受けるまでがたいへん!

回転性のめまい・難聴・耳鳴り。
これらの症状を繰り返せば即、メニエール病ですね、と確定するわけでもないところが厄介だ。

こういった症状を呈する疾患は、メニエール病のほかにもたくさんある。
さまざまな検査で他の疾患の可能性をつぶしていき、ようやく「おそらくメニエール病でしょう」ということになる。
私も、聴力検査、めまい(眼振)の検査、脳の検査、平衡機能検査、内リンパ水腫を推定するための検査等々、どっさり検査をしていただいた*2

検査には時間がかかるため、めまいを伴う症状の診察については予約を必須としている耳鼻科も多い。
今まさに発作が出ていてつらいので診てほしい……! でも予約をしていないから行けない……の繰り返しで、私は症状を固定させてしまったところがある。
通常の診療で多忙な中、時間のかかる検査を多数行うことは、病院にとってとても負担なはずだから、いたしかたないと言えばいたしかたないのだが。

うっとうしがられがちでつらい!

昔はろくに検査もせずに「メニエールですね」と診断されていたこともあったと聞く。
また、診断を受けないうちに自分はメニエールだと決めつけてしまう人もけっこういるらしい。

その結果、「自己申告のメニエールはまず信用できない」と、お医者さまにすら言われがちなのだ。
詐病扱いとまではいかなくても、病名を伝えて「ああ……」と疑いの目で見られると、わりと傷つく。

また、この病気の原因はよくわかっていないが、一般的にはストレスが大きな要因のひとつだと言われる。
心の問題というのは、だいたいどこでもうっとうしがられることが多い。
早い話が、「ちょっとめんどくさいやつ」と思われてしまいがちで、これもつらい。

私が今お世話になっている先生は、カウンセリング等は一切しない。タイミングのいい服薬で症状をコントロールできるようになることを目指して指導してくださっているのだが、実はこれが私の性には合っている。

いつめまいの発作が起こるかわからない、という状況だと、遠出をする勇気も、困難な仕事に挑戦する意欲も失せがちだ。
でも、「こういうときにこの薬を飲めば、症状をコントロールできる」と思えるだけで、だいぶ気が楽になるのである。
自分の心をコントロールするより、自分の生理学的状態を薬でコントロールする方がはるかに楽だ。

こんなふうにいろいろがんばって病気とつきあっているので、できればうっとうしがらないでほしいなと思っている。

*1:たとえば、京大耳鼻科ホームページ - 当科のご案内 - トピックス(残存聴力活用型人工内耳手術) -。いわずもがなですが、気になる症状がある方は、ネットの情報だけで判断せず、医師に相談してください。

*2:メニエール病は症状が一回こっきりではなく、反復するということが重要なのだが、私の場合、数年前に突発性難聴を起こし、その後、症状が繰り返すようになった。