思春期育児に助かる『100分de名著』

年が明ければ、まもなく娘が中学校に進学する。
まだまだかわいいかわいい12歳の娘だけれど、客観的に見ればもうだいぶおねえさんなのだ。
中学生になる。これはすごいことだ。プリキュアはだいたい中学生だから、もう世界も救えてしまう年ごろということになる。

私と娘はわりとうまくやっている親子だとは思うが、それでも悩むことはある。
娘の思うとおりにさせてやりたいのはやまやまだが、あれこれ考えると別の選択肢を提示せざるを得ない、といったときがいちばん悩ましい。

「あなたのためを思って」みたいな恩着せがましいおためごかしはやりたくない。
でも、なぜこの選択肢を私がいいと思うのかはどうにかして伝えたい。伝えて、理解してもらった上でなら、娘がどう判断しても応援したい。
とどけこの思い、と祈るような気持ちで娘と話し合うことも多くなった。

こんなときに便利なのが哲学で、子供がある程度、いろいろな人のいろいろなものの考え方の筋道をわかってくれていると、話がしやすい。
NHKの「100分 de 名著」という番組を娘と一緒に見るようになってから、さらにこれがやりやすくなった。

「こんな本があって、こんなことが書いてあるからまずそれを読んで……」などと親が言い出したら、だいたいその時点で子供の耳にシャッターが下りる。
でも、ブックトークを一緒に聞きながらであれば、ああだこうだと同じ目線で気楽に話せる。
これが助かる。

たとえば今月の「100分de名著」は、國分功一郎先生が教えてくださるスピノザの『エチカ』。
娘にとっては、第3回(先週)のテーマ「自由」がとりわけグッときた様子だった。

それまでの回で学んだ
・人間の本質とはその人の力である
・人間にとって善いことは、その人の活動能力が増大することである
を踏まえた上で、
スピノザ的自由とは、能動的になること、つまり行為において自らの力(本質)を表現できるようになることだ、という考え方に、我が意を得たり、となったらしい。

自由の反対は強制であるとか、「自由な意志」と信じられているものの問題点とか、まさに娘の心にビンビンと響く話がどんどん出てくる。
しかし、このスピノザ的自由を子供に保証してやりたいのだけど、親にもいろいろとジレンマがあるわけで……などと私も話す。
ウームなるほど、と娘がうなずく。
そういうやりとりが、ブックトークというワンクッションを置くことで、構えることなくできるのだ。実にありがたい。

これから娘は、哲学に限らずいろいろな学問を身につけていくだろう。
その身につけた武器で、私が倒される未来が来るのかもしれないが、それはそれで楽しみである。