次世代の物語~NARUTOとかスター・ウォーズとか~

 楽しんできた長編作品の主人公たちが「世代交代」する時期と、自分の子育ての時期がちょうど重なる、という得がたい体験をしている。

 世代交代作品のひとつは、『NARUTO』。

NARUTO―ナルト― モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

NARUTO―ナルト― モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 言わずと知れた、週刊少年ジャンプの大人気漫画である。
 うちの子もコミックスを何度読み返したかしれないくらい大好きな作品で、テレビアニメや映画も人気。

 『NARUTO』は、ジャンプでの連載が終了した後、いくつかのスピンオフ作品や映画などを経て、主人公ナルトの息子・ボルトとその友人たちを中心に据えた作品『BORUTO』に受け継がれている。

BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS- 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS- 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 『BORUTO』は、『NARUTO』の作者の岸本斉史さんが原作・監修、岸本斉史さんのアシスタントを務めていた池本幹雄さんが作画、『NARUTO』のノベライズやスピンオフ小説などを手がけた小太刀右京さんが脚本、という布陣で作られている。
 作家陣も見事に「次世代」に受け継がれているのがすごい。

 岸本斉史さんよりほんの少し年下でしかないのに、次の世代に残せるものをいったいどれほど生み出せているんだろう、と私が焦りを感じている傍らで、私の子供は『BORUTO』(特にアニメの方)を心から楽しんでいる。
 子供はちょうどボルトたちと同世代ということもあってか、まさに “自分たちの物語” が始まる瞬間に立ち会えているのが嬉しいように見える。
 
 世代交代している作品のもうひとつは、『スター・ウォーズ』だ。

 若きジェダイであるルーク・スカイウォーカーを主人公とした旧三部作(1977年~1983年)、ルークの父であるアナキン・スカイウォーカーを主人公とした新三部作(1999年~2005年)に続いて、年老いたルークが姿を消した後に登場したレイを主人公とした続三部作(2015年~)が始まった。

 今まさに、続三部作の第二章『最後のジェダイ』(エピソード8)が公開中である。

 エピソード7も含め、大人の評価は分かれているものの、総じて、うちの子は、続三部作をとても楽しんで見ている。
 子供とエピソード8を見た後、休憩していたレストランの隣の席で、小学校1年生だという男の子が、ジェダイの未来についてノンストップで語っていたのも印象的だった。

 子供たちにとって、レイ、カイロ・レン(ベン・ソロ)、フィン、ローズたちは、少し年上の憧れのお姉さん、お兄さんたちで、そしてエピソード8の最後に登場した少年は、等身大の分身であるかのように思えるのかもしれない。

 自分たちの物語が自分たちにとっての役割を終えて、新しい次世代の物語が生み出されていくところを、私は目の当たりにしているのだ。
 
 自分たちが愛したものをそのまま引き継いで楽しめと押し付けるのではなく、子供たちが自分たちのものとして楽しめるものを作り/受け入れ、やがては子供たちが自分で新しいものを生み出せるような環境を作ってやれる大人になりたい。