『ドラゴンボールZ 神と神』を見てきた(ネタバレあり)

 劇場版ドラゴンボールZの最新作「神と神」を小学校1年生の子供と観てきました。期待以上の良い作品でした。

 上映時間が85分と比較的短いため、小さな子供でもさほど疲れずに鑑賞できると思います。最近は、子供向け映画といっても上映時間の長い映画が多くなっている中、この配慮はありがたいなと思いました。きちんと子供に向けてつくられていると感じました。

 上映時間は短いものの、ドラゴンボールの魅力がぎゅっと詰め込まれています。登場人物の背景等がわかっていると楽しいと思いますが、ドラゴンボールをよく知らない子供でも楽しめるはずです(ちなみにうちの子供は、コミックスを26巻まで読んだあたりで見に行きました)。

 「とにかく強いヤツと闘ってみたい」というサイヤ人らしい悟空の気持ちがまっすぐに伝わってきます。

 この映画で描かれているのは、目の前にいる敵だけを倒そうとする「戦い」というより、むしろ自分も含めた何かを克服しようとする「闘い」であると思いました。

 悟空は最後まで、闘いの相手である破壊神ビルスに勝つことはできません。元気玉も使われません。しかし、ビルスとは最後に友情のようなものを築きます(いつか敵同士として相対することがあるかもしれない、という含みを残しつつ)。

 絵に描いたような勧善懲悪の物語ではまったくありませんが、見終わったあとに不思議な爽快感がありました。

 悟空は、ビルスと闘う力を得るために、ベジータや息子たちの力を借りて、超サイヤ人神(スーパーサイヤ人ゴッド)になります。

 髪の色も赤くなり、シンプルながらも迫力のある姿で、なかなかカッコいいし、ものすごく強くもなるのですが、悟空本人は「他人の力を借りて強くなったのが悔しい」と言います。

 そして結局、超サイヤ人神の姿でいたのは短い間で、その後は超サイヤ人、またはサイヤ人の姿でビルスと闘います。

 どちらかといえばこれまではベジータが見せていたようなプライドの高さを、この映画では悟空が見せているのが新鮮でした。(一方でベジータは、プライドを捨てた驚きのパフォーマンスを披露するのですが)

 本作では、少し違った角度から悟空とベジータを見ることで「(サイヤ)人とは何か」を描き出そうとしたのではないか、などと勘繰ったりしています。

 破壊神ビルスもまた、非常に魅力的な敵役でした。

 ねぼすけで、くいしんぼうで、懐が深いようでいて、びっくりするほど気まぐれで、そして、とてつもなく強くて怖い神様です。ビルス役を演じられた声優の山寺宏一さんが素晴らしかったです。

 そして、破壊神ビルスよりほんとうに強いのが実は……というあたり、「真の強さや恐ろしさは見かけだけではわからない」というドラゴンボールの原則がしっかり生きていると思いました。

 メインのストーリー以外にも、ビルスにお尻ぺんぺんされて「ごめんなさ〜い」していたゴテンクスがかわいかったとか、トランクスがああなったのはやっぱりブルマの血なんじゃないかとか、ベジータはいつのまに臆面もなくブルマを妻と呼ぶようになったのかとか、わいわい話したくなるようなエピソードがたくさん詰まっていて、大満足でした。

 まだ観に行っていない方はぜひどうぞ。