落語の夜

 金曜日は小三治さん独演会。ひたち野うしく駅前の駐車場に車をとめて、常磐線松戸市民ホールへ。

 昭和の香り漂うホールはほぼ満員御礼だった。


 最初に三三(さんざ)さん。前に末広亭で聞いて大好きになった噺家さんである。声がいいし、機転が利くし、とても練れた芸の二つ目さん。

 私は初めて聞いた噺で、「しの字嫌い」。理屈っぽい使用人・清蔵(清三?)をやりこめようと、旦那が「し」の字を発音することを禁じる。あの手この手で「し」を言わせようとするが、清蔵もさるもの、容易には「し」のつく言葉を言わない。思わず旦那が「うーん、"し"ぶとい奴め」。

 途中、客席で携帯が鳴り出した。ちょうど旦那が清蔵に「し」を言うなと申し渡しているところで、清蔵の台詞「え?今、電話が鳴ったんでよく聞こえませんでした。もう一度おっしゃっていただけますか?」。うまい!


 さて待ってましたの小三治さんは「出来心」、中入りをはさんで「甲府い」と、春らしく穏やかな演目が二つ。名物のなが~い枕は、最初の「出来心」のみで、「甲府い」はいきなり噺に。予期に反して、延長はほとんどなくお開きとなった。

 

 少しお年を召したかなあという印象だったが、さすがの貫禄。

 春の愁い、「人さまの職業がうらやましく見えることもある」というような話題から句会のこと。「春嵐」という題で小三治さんがつくったのは、「目を閉じてまた歩き出す春嵐」。これを、退職する校長先生にプレゼントした、というお話から、どうにも泥棒稼業が向かないドジな泥棒君の噺「出来心」へ。


 「甲府い」はゆったりのんびりと。「とうふーぃ、ごま入~りぃ、がんもーどき~」の声のいいこと。若夫婦の門出が初々しくて、季節の気分をよくぞ楽しませて下さった、と思い切り拍手。


 帰りは松戸駅前の居酒屋さんで、くじら刺やかき鍋などつつきつつ、古典の余韻に浸った夫婦でした。


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 ホワイトデー兼就職祝いで、夫にプレゼントをもらった。銀座くのやさんの風呂敷!とってもきれいなクリーム色の縮緬地に、淡いピンクの手毬模様が描かれている。うれしい、うれしい。

 大喜びしていたら、「これは就職祝いも兼ねているからね。毎年このグレードを期待しないでね」と釘を刺された。大丈夫ですとも。


大きな被害を受けた方々が、一刻も早く通常の生活に戻れますように。