オーストラリア学会記Part 6

早起きして荷造り。朝ご飯をかきこみ、荷物を部屋の外に出してチェックアウトした後、SさんとAqua Soul Spaへ。今日はエステ初体験なのだ。


アロマオイルの香りに包まれて、にこやかに迎えられ、着替え用の部屋へ。シャワーもトイレも完備されている。バスローブに着替えて出てくると、明るいサンルームのようなスペースに案内されて、しばらくリラックスタイム。冷たい水とおしぼりが用意されているのもうれしい。籐の長いすにくつろいで、景色を眺めながらSさんとおしゃべり。やがて二人のエステティシャンのおねえさんがやってきて、いよいよ別室でエステ開始。

 

今回選んだのは、Tranquilityというフェイシャルのコースなのだが、うつぶせになって上半身もマッサージしてもらえた。これがよだれが出るほど気持ちいい。顔も、クレンジングから始まって、ゆっくりゆっくりトリートメントしてもらう。パックの間は、アロマオイルで手をマッサージしてくれる。あまりの心地よさにぼーっとしているうちに、やさしく腕に手を置かれて、「気分はいかがですか?」と声をかけられた。「I feel very nice!」と心から答える。

更衣室にSさんと戻り、お互いの顔を指さして「わー!ぴちぴちになってるー!」と喜び合う。着替えると、また冷たい水のサービス。いやあ、これは癖になるかもしれない。


フェリーは2時出航の予定。お昼をのんびりいただいてもまだ時間があるので、コーヒーをお代わりしながらRob Butcherと駄弁る。「I don' wanna go back」などと私の英語は次第に崩れてきており、さらに指摘するなら、身振りと表情もやや大げさになっているようだ。なんて影響を受けやすい私。

船着き場に行ってみても、フェリーは一向に来る気配がない。Fさん一家と、裸足で浅瀬を歩いて遊ぶ。

30分以上遅れてようやくフェリーが到着。グラッドストーンまでの2時間、ひたすら眠ってしまった。


グラッドストーンの四つ星ホテルMetro泊。アパートメント式で、ひととおり台所が整備されているのが、後で私の苦境を救うことになる。


夕方、みんなで街に出てぶらぶら。グラッドストーンは坂の多い小さな港町だ。5時を過ぎていたので、お店はほとんどが閉まっていた。

夜はジャックもまじえてレストランで。ブルーサーモンがおいしかった。いいかげん英語をしゃべり疲れたことでもあり、早めに部屋に引き取ってお風呂に入った。

 

浴槽があるので、喜んでお湯を張ったのが悲劇の始まりである。ゴム栓に鎖がついていないことに、もっと注意を払うべきだった。十分に暖まり、機嫌よくお湯を抜こうとしたのだが、栓はびくともしないのだ。どんなに爪を立てても、水圧で動かない。私は裸で立ち往生した。そこで思い出したのが台所の存在である。

ぱたぱたと台所にかけこみ、引き出しを次々に開けると、手頃なスプーンがある。少々めっきが剥げたような感じだが、今はどうでもよい。柄の方をゴム栓の隙間に差し込み、えいやと力を込めると、気持ちよく水が流れ出して栓を抜き取ることができた。何食わぬ顔をしてスプーンを洗ったが、もしかしてこの剥げためっきは、先住者が同じ目的で使った結果ではなかろうか。