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食品中の放射性物質について

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 東京電力原発事故以来、日常的に「放射性物質」というものに向き合わなければならないようになりました。

 わたしは原発から比較的遠い地域(東京)に住んでいるため、環境中の放射性物質よりも、子供の口に入る食品中の放射性物質が気になります。

 個人的にもっとも気になる2点、

 −どのような食べ物から、どれくらいの放射性物質が検出されているのか?

 −何を、どれくらい食べたら影響が出るのか?

 について、わたしなりに調べてみた結果をまとめてみます。

どのような食べ物から、どれくらいの放射性物質が検出されているのか?

 食品中の放射性物質の量は、自治体等によって検査されています。

 そして、その結果は以下で見ることができます。

 農林水産省/厚生労働省(食品中の放射性物質の検査結果)

 毎日更新されているので、気になる方はこのサイトをブックマークしておいて、ときどきチェックしておくといいかもしれません。

 ざっと見ると、最近では放射性ヨウ素は検出されず(半減期をかなり過ぎたからでしょう)、放射性セシウムがときどき検出されているようです。

 ひとくちに「放射性物質が検出された」と言っても、その量が問題になるところです。直近の検査結果を見ると、放射性セシウムについて、1キログラムあたり100ベクレルを超えるものがちらほら見つかる食品は、牛肉、水産物、茶葉くらいでしょうか。

 野菜や果物についてはほとんど検出されず、検出されたとしても、1キログラムあたり10ベクレル未満のようです。

 食品中の放射性物質については、緊急時の暫定規制値が設定され、それを超える食品については出荷が停止されています。

 ただし、流通している食品が「すべて」暫定規制値未満である、と保証することはできません。

 実際問題として、「すべて」の食品を検査するのは不可能だと思いますが、ちょっと不安になります。この不安とどう向き合うか、ですが、わたしは次のように考えています。

 自治体等の検査結果を見るかぎりでは、そもそも、市場に流通する前の食品の中でも、原発に由来する放射性物質が検出されなかった食品が大多数のようです。

 ということは、暫定規制値を超える食品や、超えはしないまでも「ちょっと多いかも……?」と感じられる食品が市場に紛れ込んだとしても、それほど多い数ではなさそうです。

 ただ、より安心できるように、

・どの地域では、どの程度の規模で抜き取り調査が行われているのか(野菜なら畑単位?魚なら船単位?とか)、

・どのような方法で検査が行われているのか

についても、ひとめでわかるように、情報を集約して公開していただけるよう、農水省厚労省には要望したいところです。

何を、どれくらい食べたら影響が出るのか?

 現在の暫定規制値が適切かどうかについては、いろいろと議論があります。それを受けて、内閣府食品安全委員会が「放射性物質の食品健康影響評価に関するワーキンググループ」を設置し、検討が重ねられてきたようです。

 最近、評価書(案)がとりまとめられて、以下に掲載されています。

 放射性物質の食品健康影響評価の状況について

 中を見ると、232ページもあります。しかもかなり専門的です。どわわっ。

 とりあえず結論だけ抜き出すと、

放射線による影響が見いだされているのは、通常の一般生活において受ける放射線量を除いた生涯における累積の実効線量として、おおよそ100 mSv以上」

「小児に関しては、より影響を受けやすい可能性(甲状腺がん白血病)がある」

「追加の累積線量として100 mSv未満の健康影響について言及することは現在得られている知見からは困難」

 ということのようです。

 短期間の被曝を想定した「年間線量」ではなく、緊急時と平常時を通じた「生涯の累積線量」を基準に判断しようとしているところが、より実際的な評価になっていると思います。

 個人的には、特定の放射性物質の影響について確実な結論を出すためにはデータが少ないのだな、という印象を受けました。食品安全委員会では、安全側に立って、「追加の累積実効線量としておおよそ100 mSv」という目安を出したようです。

 もっとも、明確な指標値として「100 mSv」と書かれているわけではないのがイマイチです。この点については、産総研の岸本充生先生がパブリックコメントとして意見を出されています→こちら

 専門的な議論はおいておいて、いきなり数字だけ出されても、具体的に「何を」「どれだけの期間」食べたら、追加の累積実効線量なるものが100 mSvに達するのか、さっぱりピンときません。

 そこで、

「いまの暫定規制値ギリギリの食品だけで構成された食事を、毎日食べ続けたとしたら、何年で追加の累積実効線量100 mSvに達するか」

 について、ざっくりとわたしが試算してみた結果が、以下です。(あくまでざっくりなので、ツッコミどころが多々あるかもしれませんが、ご寛恕のほどを)

<条件>

・成人の一般的(理想的?)な食事内容を仮定した(参考:農林水産省・食事バランスガイド

具体的には

−主食(生米1合=150グラムとして、1日3合=450グラム)

−副菜(野菜類=350グラム)

−主菜(肉=150グラム)

−牛乳・乳製品(牛乳瓶1本=200ミリリットル(だいたい200グラム))

−果物(果物1個=100グラム)

 を、1日の食事内容とした。

・1日に摂取する飲料水の量については、以下を参考にした。

 厚生労働省:健康のため水を飲もう推進運動

 具体的には、飲料水として1日あたり1.2リットルとした。

・暫定規制値は以下を参考にした。

NHK「かぶん」ブログ:NHK

| 解説コーナー | 放射性物質・食品等の暫定基準値をまとめました(藤原記者)

 放射性ヨウ素は検出されないものとして除外して、放射性セシウムのみを対象にした。

 具体的には

−飲料水=1リットルあたり200ベクレル

−牛乳・乳製品=1kgあたり200ベクレル

−野菜や肉、それに卵や魚などそのほかの食品=500ベクレル

ベクレルシーベルト換算は、以下のサイトを利用した。

 ベクレル(Bq)、シーベルト(Sv)計算・換算

 放射性セシウムは、すべてセシウム137と仮定した。

 (ちなみに、ベクレルとは放射性物質放射線を出す能力の単位。シーベルトは、放射線が人体に及ぼす影響の度合いを示す単位。)

<試算結果> (有効数字とかむちゃくちゃです。すみません)

・1日の食事の実効線量は以下のとおり。

主食+副菜+主菜+果物=1050グラムについて、0.006825 mSv

牛乳=200グラムについて、0.00052 mSv

飲料水=1.2リットルについて、0.00312 mSv

 合計すると、0.010405 mSv。

・これを何年食べ続けると100 mSvに達するかというと

 100(mSv)÷0.010405(mSv)÷365=26.3(年)

 ということになります。

<考察>

 さて、だいたい26年くらいで100 mSvに達するようで、意外に早い気もします。

 しかし、これは、あくまで食事が暫定規制値ギリギリの食品のみで構成されていたとして、そしてそれを三食、毎日食べ続けていたとしての話です。

 実際の食事全体に含まれる放射性物質が暫定規制値の半分であれば、50年くらいに伸びますし、10分の1であれば、260年くらいになります。

 食事の量によっても、もちろん計算結果は変わります。

 暫定規制値ギリギリの食品だけを今後ずっと食べ続ける、という状況は考えにくいので、今、市場に出回っている食品を食べている分には、(放射性セシウム以外の核種を考慮したとしても)、追加の累積実効線量が100 mSvに達することは、まあ寿命で死ぬまでないかな、と考えられます。

 また、追加の累積実効線量が100 mSvに達したら、即、その瞬間から確実になんらかの影響が出るというものでもないことは重要です。

 しかしながら、もしかすると今後、現在設定されている暫定規制値は高すぎる、という意見が出てくるかもしれないな、とは思います。

 除染が速やかに進めばよいのですが。

最後に

 避けられるものならば、子供にはできるだけリスクの少ないものを食べさせたい、という気持ちはわたしにもあります。

 リスクをどのように判断するか、どこまで許容するか、そしてどのように行動するかは、人によって、また、家庭によって異なるでしょう。

 大切なのは、誰でもあまり労力をかけずにリスクの判断ができ、どのような判断をしたとしても、大きな不利益をこうむらないことだと思います。

 そのためにも、政府や自治体には、継続した、そして徹底した情報公開を要望します。

 しかし、どのように行動するかを自由に選べる環境にあるというだけで、どれほど恵まれていることでしょうか。

 原発のリスクを引き受けることなく、電力の利益のみを享受していたわたしが、安全なところから放射線リスクについてばかり云々することについては、忸怩たる思いがあります。

 常に出荷停止の危機に脅かされている方々、そして、家や田畑、漁場を失ってしまった方々にはほんとうに申し訳なく思うとともに、一刻も早い除染と、十分な生活の保障がされることを望みます。

追記

 はてなブックマークコメントで、doramaoさんより以下のコメントをいただきました。

「生米を一食150gは丼飯山盛り一杯くらいでしょうか。精白米として70~100gの間が一般に示す場合妥当だと思いますよ。」

 というわけで、記事中の試算は、ものすごーく白米大好きな人の試算になっています。 実際はもっと、ごはんの量が少ない方が多いと思います。