生物大量絶滅時の地層(ペルム紀/三畳紀境界層)を岩手県で確認(東北大学)

東北大学のプレスリリースより。


生命は、地球に誕生して以来、何度か大量絶滅を経験してきました。

恐竜が絶滅した、白亜紀末の大量絶滅をご存じの方も多いでしょう。

今のところ、歴史上でもっとも大規模な大量絶滅と考えられているのが、古生代の終わりの時期であるペルム紀二畳紀)末に起こった大量絶滅です。


今回、東北大学のグループは、岩手県の北上山地で発見した地層が、このペルム紀の大量絶滅当時のものであることを発見しました。

この時期、地球にどんなできごとがあったのか、生物相にどのような変化があったのか、さまざまな謎を解き明かす鍵になりそうです。


ところで、岩手県と化石といえば、宮沢賢治の童話「イギリス海岸」が思い出されます。

イギリス海岸とは、北上川沿いに泥岩が露出している地帯に賢治がつけた愛称です。

「イギリスあたりの白亜の海岸」を歩いているような光景、そして、実際に大昔(第三紀)には海岸だった地域であるという地質学上のおもしろさから、賢治はこのイギリス海岸をことのほか愛しました。


 その頃世界には人はまだ居なかったのです。殊に日本はごくごくこの間、三四千年前までは、全く人が居なかったと云ひますから、もちろん誰(たれ)もそれを見てはゐなかったでせう。その誰も見てゐない昔の空がやっぱり繰り返し繰り返し曇ったり又晴れたり、海の一とこがだんだん浅くなってたうとう水の上に顔を出し、そこに草や木が茂り、ことにも胡桃(くるみ)の木が葉をひらひらさせ、ひのきやいちゐがまっ黒にしげり、しげったかと思ふと忽(たちま)ち西の方の火山が赤黒い舌を吐き、軽石の火山礫(くゎざんれき)は空もまっくらになるほど降って来て、木は圧(お)し潰(つぶ)され、埋められ、まもなく又水が被(かぶ)さって粘土がその上につもり、全くまっくらな処に埋められたのでせう。考へても変な気がします。そんなことほんたうだらうかとしか思はれません。ところがどうも仕方ないことは、私たちのイギリス海岸では、川の水からよほどはなれた処に、半分石炭に変った大きな木の根株が、その根を泥岩の中に張り、そのみきと枝を軽石の火山礫層に圧し潰されて、ぞろっとならんでゐました。

宮沢賢治 「イギリス海岸」(青空文庫版)より


賢治は、ここでクルミなど、さまざまな化石を採集しています。


私は地質学が専門ではありませんが、実にロマンあふれる分野だなあと思っています。

また、宮沢賢治のファンでもあります。

今回、地球と生物の歴史を解き明かす新しい鍵が、賢治の故郷である岩手県で見つかったということに嬉しくなったため、ちょっとご紹介しました。