出産オタが非オタの彼氏に出産の世界を軽く紹介するための10本

まあ、どのくらいの数の出産オタがそういう彼氏をゲットできるかは別にして、「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、その上で全く知らない出産の世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼氏に、出産のことを紹介するために見せるべき10のアイテムを選んでみたいのだけれど。

(要は「脱妊婦ファッションガイド」の正反対版だな。彼氏に子作りを強要するのではなく相互のコミュニケーションの入口として)


あくまで「入口」なので、実践に過大な負担を伴うマニアックな呼吸法は避けたい。

できれば必ず産婦人科で出会う、少なくとも妊娠出産本をめくれば出てくる程度のアイテムにとどめたい。


あと、いくら産科学的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。

パール・バック好きが『出産?阿藍は産んだらすぐに畑に戻って働いてたわよ』と言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。

そういう感じ。


彼氏の設定は

出産知識は、いわゆるいきみのがし的なものを除けば、ヒッヒッフーくらいは知っている程度。

フェミ度も低いが、頭はけっこう良い理系のメガネ男子。

という条件で。


まずは私的に。出した順番は実質的には意味がない。


母乳育児

まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「ミルク以前」を濃縮しきっていて、「母乳以後」を決定づけたという点では外せないんだよなあ。授乳服も続々出てるし。


ただ、ここで妊婦トーク全開にしてしまうと、彼氏との関係が崩れるかも。


この、女から母への変化をある意味もっとも象徴する行為について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼氏に伝えられるかということは、妊婦側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。


母親教室・父親教室

アレって典型的な「妊婦が考える一般人に受け入れられそうなイベント(そう妊婦が思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのものという意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼氏にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。「親としての意識を醸成できた(あるいはさせた)と思いこむぶんには”気休め”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。


マタニティマーク

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ある種の妊婦が持ってる疲れた通勤客への遠慮と、さりげなくスマートに気づいてほしいというこだわりを彼氏に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにも厚生労働省のやること的な


・駅事務室までもらいに行くのが、けっこうハードル高いこと

・そして実際はほとんど目に付かないため、実質的には意味がないんじゃないかとささやかれていること


といった裏話をはじめとして、妊婦を取り巻く社会の問題点を世界にちりばめているのが、紹介してみたい理由。


ホメオパシー

たぶんこれを見た彼氏は「それっておもいっきりニセ科学だよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。


私がこれを知ったのは「贅沢なお産」(桜沢エリカ)であること、この本が妊婦のバイブル的出産本のひとつである問題、そして、出産後も医者に見せるべき病気の子どもにレメディー投与している母親*1がけっこういる恐ろしさなんかを非オタ彼氏と話してみたいかな、という妄想的願望。


逆子(骨盤位)

「やっぱり妊娠・出産って大変だよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「多胎妊娠(分娩)」でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、妊娠中の妊婦の心をすごくかきみだすから。


妊娠中期の逆子はよくある話、ほとんどは産む直前には元に戻ります、と言われても全然戻らなくて妊娠後期に突入して、やっぱり帝王切開になっちゃうのかなあ、でもやっぱり下から産みたいなあ、という心の揺れが、どうしても私の心をつかんでしまうのは、その「下から産む」ということへの執着がいかにもオタ的だなあと思えてしまうから。


帝王切開という産み方を私自身は不自然とは思わないし、赤ちゃんが元気に生まれてくればそれでいいと思うけれど、一方でこれが自分自身のことだったら、それなりに悩むと思う。なので、はたから見たらどうにも変な格好の逆子体操までしてしまう、というあたり、どうしても「下から産みたくて、実際に逆子を産んでしまった元妊婦」としては、たとえ私がそういうキャラでなかったとしても、親近感を禁じ得ない。骨盤位分娩ができる病院の情報と合わせて、そんなことを彼氏に話してみたい。


私は赤ちゃん(松田道雄

今の若年層でこの本を読んだことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。

私は赤ちゃん (岩波新書)

私は赤ちゃん (岩波新書)

シアーズ博士よりも前の段階で、育児法の基本的な考え方は松田道雄で頂点に達していたとも言えて、続編の「私は二歳」は、市川崑監督、山本富士子船越英二主演で映画にもなったんだよ、という情報は、別に私自身がまったくその時代に生まれていなくとも、なんとなく松田道雄好きとしては不思議に誇らしいし、いわゆるスポック博士しか育児論を知らない彼氏には見せてあげたいなと思う。


姫、王子

「自分の子どもは謙遜して呼ぶもんだろ」ということをマナーにうるさいおばちゃんとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。


「もちろん場合によってはちゃんと謙遜はするけど、妊婦どうしだったらどんどん浮かれてハッピーに盛り上がっていいよね?」的な感覚が妊婦には共通してあるのかなということを感じていて、だからこそ妊婦雑誌で「愚息、愚娘」という呼び方はあり得ないんじゃないかとも思う。


「ベビたんっていうのもかわいいよね」という妊婦の感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「とにかく対外的には口に出せない愛称を使いたい気分」の源は、妊婦が実は社会で疎外されていることにあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。


立ち会い出産

これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。


こういう「父親としての自覚を早く持ちなさいよ」という産婦の願いを、こういうかたちで実現化して、それが非オタに受け入れられるか気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。


桶谷式

9個まではあっさり決まったんだけど10個目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的に桶谷式を選んだ。


母乳育児から始まって桶谷式で終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、やっぱり最初に多い母乳トラブルや母親の不安を解消するのにはありがたい存在だし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい方法がありそうな気もする。


というわけで、私のこういう意図にそって、もっといい10個目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。


「駄目ねこの元妊婦は。私がちゃんとしたリストを作ってやるわ」というのは大歓迎。


こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。


参考:

アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本

◯◯オタが非オタの彼女に◯◯世界を紹介するための10本まとめ