勘弁してくれや、と思ったこと

日経BPのSAFTY JAPAN、小山昇氏の記事「「飲みニケーション手当」を支給、さぼる上司には…」より。

だとしたら業務を離れてざっくばらんに、腹を割って話し合える場を持ってもらったほうがいい。というわけで我が社では、課長職以上で4人以上部下のいる立場にある社員全員に、毎月2万5000円の「飲みニケーション手当」を一律支給しています。このお金で毎月必ず部下と食事なり酒なりを共にしなさい、というわけです。


だそうで。

しかも、月一回の飲み会を1度でもサボった上司には、税金分をプラスした手当てを返納するよう義務付けているんだとか。

しかもしかも、手当てをもらう上司全員の名前を廊下に張り出し、飲み会を開催した上司は、その報告書を名前の上に貼ることになっているんだとか。


これを読んで思ったこと。

こんなシステムじゃ、ぜ~~~ったいに女性社員は育たないだろうな。

男性社員にとっても???ちょっと疑問。


断っておくが、私自身「飲みニケーション」自体は大好きであるし(呑んべだし)、その存在自体を否定するものではまったくない。

でもねー。ビジネスの肝心なところ(人間関係の構築含め)を、「飲み」の場に頼るという風土には大反対なのですよ。


言うまでもないことだが、お酒(and/or酒席)が苦手な人は、業務時間外に、無給で、苦痛を耐え忍ばなければいけない。

平社員は自由参加がタテマエなんだろうが、実際、飲みに行かなければ村八分になるのがわかっていたら、そりゃ強制しているのも同じこと。パワーハラスメントと言われてもしかたないでしょう。

別に飲まなくても良い。「食事なり酒なり」と言っているではないか、と社長はおっしゃるかもしれないが、あとは全部「飲み会」「飲みニケーション」と表現されているので、酒席を意図したシステムであるのは間違いない。


そして、このシステムでは、業務終了後の時間に飲みに行けない社員は、社内の動きから取り残されることになる。育児中の社員など、もっとも立場が悪い。


ただでさえ、会社というところは、酒席や喫煙所、または若手男性社員のための独身寮といった限られたネットワーク内で人脈がつくられ、物事が進んでいく。

いわゆる「Good old boys' network」というやつですが、この強力さを目の当たりにするたびに、働く母として、日本の民間企業でキャリアアップしていく未来には絶望的になるのだ。


ダイバーシティ推進がトレンドの今の世の中で、今さら「古き良き男性社会」をぶちあげる小山氏の無邪気な勇気には感心するが、実施しているシステムの内容にはまったく感心しない。


また、彼は、ことあるごとに「中小企業ではこうしないと物事が動かないのだ」というロジックで話を進めるが、ほんとにそうなのかなあ、と思う。

私は経営にはド素人だし、人心に通暁しているとも言いがたい。だからこそなのかもしれないが、「"中小企業だから"(=エリートが集まらないから)社員の自主性には期待するな」という決めつけには反感をおぼえる。

そういった色眼鏡で見ることが、社員の自主性を摘んでいるってことはないのかなあ。


例えは乱暴だが、「ここは底辺校だから」という目で一律に生徒を眺めるような学校で、児童や生徒が育つだろうか?


よその会社のことなんだからいいっちゃいいんだけど、感心してうちの会社にも「飲みニケーション手当」システムが導入されちゃ困るので、引用元にトラックバック




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