いもむしをわける

実験の都合上、スジコナマダラメイガの処女雌がほしいので、

幼虫のうちに、雄と雌をわけることにした。


スジコナマダラメイガ(長いので、「スジコ」と略す)のオスは、梅干し色の精巣をもっている。

幼虫は、その精巣の色が体表に透けて、斑点になって見えるので、オスとメスを区別することができるのだ。


以前に書いたように、スジコはふすまベースの餌の中で育てている。

餌ごと、ばっとトレイに空けて、その中にいる幼虫を、一匹一匹わけていくのだ。


この作業は、SWさんのいるところではできない(SWさんは泣くほど芋虫がきらい)。

したがって、虫部屋に閉じこもり、黙~って、幼虫を200匹以上つまみだすのである。

あまり適齢期の娘さんのすることではない。


わけた幼虫は一度、透明なシャーレの中にうじゃうじゃ溜めておく。

メスの中にオスが混じっていないか、オスの中にメスはいないか、最後にチェックするためだ。

このシャーレの中の光景は、さすがになんともグロテスクだが、慣れというのはおそろしい。

最近は、おたがいの出した糸にからまった何十匹もの幼虫を手に乗せても、何も感じなくなってしまった。


もっとも、恐怖というのは往々にして、無知から来るものであるから、

対象を知り尽くしたという意味で、これは進歩なんだろう。


ゴキブリも、慣れればこわくなくなるんだろうか。今度K先生に聞いてみよう。

(K先生は、ワモンゴキブリのプロ)