K塾の顔

都内各地でセミの鳴き声が聞かれはじめた週末。

新宿はNSビルにおいて、受験関連の大きなイベントが開かれた。

A新聞社主催、K塾および某大手通信添削会社の協賛で行われた「大学ガイダンス」である。


国公立や私立のさまざまな大学が相談ブースを開き、生徒たちの相談に答えるほか、

講演会場では、早稲田、東工大、東大、慶応の各大学が大学の概要説明を行う。

もちろん、小論文対策の講演や、保護者のための大学入試講座などもあって、盛りだくさん。

昨年度は5300人の入場者をみたという、わりと大きなイベントだ。


私は、学習相談コーナーのK塾ブース、生物担当者として、このイベントに駆り出された。

「いわばK塾の顔ですので」とクギをさされていたため、この暑いのにスーツで出動。

麻混・七分ソデの夏スーツではあるが、真夏の新宿オフィス街ではモビルスーツも同然である。


いやはや、なんともハードな仕事だった。

11時開始で、終わったのが午後5時。

それまで、ほとんどひっきりなしに相談を受け続けたのだ。

途中、しゃべりながらフッと意識が飛び、遠い世界からあわてて戻ってくるような瞬間もあった。


はじめはよかったのだ。

まだ生徒はポツポツとしか来ず、隣の先生としゃべったり、部屋のようすを観察したりするヒマもあった。


広い部屋の片側にはK塾の机、もう片方には某大手通信添削会社の机がズラリと並んでいる。

向かい側の先生方は、ハンサムが多い。

通信添削という媒体を選んでいるのがふしぎなくらいである。


受付でミネラルウォーターのペットボトルをもらったのだが、たいていの先生方はマイペットボトルを持参。

某大手通信添削会社は、16人のうち12人が持参。K塾は11人のうち4人が持参。

K塾側に持ち込みが少ないのは、「どうせなんか出るだろう」というスレた見込みのせいに違いない。

ちなみに、持ち込み飲料の内訳をみると、「聞茶」が6人でダントツのトップ。次が「生茶」で3人。

以下、「金の烏龍茶」、「n」、その他のミネラルウォーターなどが続く。


・・・というような、悠長かつヒマな観察をしていられたのは、開始30分くらい。

そのあとは、怒濤のごとき質問の嵐が続いた。

高校生が圧倒的に多く、意識の高い高2生も目立った。

生物という科目柄か、女生徒が多かった。


質問内容は、勉強法がほとんど。

中には「こないだの期末で赤点取っちゃったんですけど~」というかわいらしい高1もいた。


29階の「モンテローザ」で、パスタランチを30分ほどで食べ、ふたたび舞い戻る。

ときどき、顔見知りの教務のおねえさんたちが励ましに来てくれてうれしい。

引き続き、相談者はどんどんとやってくる。しゃべり詰めでノドはカラカラだ。

ほんのわずか、お客さまがとぎれた瞬間に、隣の物理の先生と顔を見合わせてタメ息をつく。


5時。やっと終了。

簡単な報告書を提出し、1階の「しゃぽーるーじゅ」でオムライスを食す。

(お食事券は支給)

とてもとてもビールが飲みたかったが、さすがにひとりでビールをあおる勇気は出ず。

おとなしくお水でノドをうるおして、大江戸線で研究室に出勤。


なんともめまぐるしい週末だった。

さーて。ワインでも買って帰るぞ~!