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嵐のような日々の中で原民喜を読む。大江健三郎の編集による新潮文庫版夏の花・心願の国



“自分のために生きるな,死んだ人たちの嘆きのために生きよ。”

なつかしい小公女にひさしぶりに会った。

新潮文庫の訳は伊藤整。美しい完訳で再会したサアラ・クルウは,前に思っていたよりも強く,勝ち気であった。決してただのおとなしい天使なんかではない。

引き取ってやるのだから私の親切に礼を言いなさい,というミンチン女史に,サアラは礼など言わなかったばかりか,こう言ってのけた。

「先生はしんせつでなんかありません。しんせつでもありませんし,ここは家でもありません。」



7歳のサアラはこうも語る。



「ものごとってひとりでにおこるものね。わたしには,いいことばかりいろいろとおこったのよ。わたしが本や勉強が好きだということも,読んだものをおぼえるということも,ひとりでにそうなったのよ。(中略)きっとほんとうは,わたしはいじわるなのかもしれないわ。でも,ほしいと思うものはなんでももらえるし,だれもがしんせつにしてくれるのだから,いじわるなんか,してはいられなくなるでしょう。いったい」と言って,サアラはまじめな顔をし,

 「わたしがいい子なのか,悪い子なのか,どうしてもはっきりしないの。きっとわたしはひどい子なのよ。だけど,一度もつらいめにあわなかったから,それがだれにもわからないのだわ。」

 「ラヴィニアは一度もつらいめにあわないけど」とアーメンガアドが,ぼんやりと言った。「あの人あんなにいじがわるいわ。」

 サアラはそのことを考えながら,いつものくせで鼻のあたまをこすっていた。そしてとうとう,こんなことを言った。

 「そう,それはね,きっと—-きっとラヴィニアがおとなになってきたからよ。」



小公女
小公女
posted with 簡単リンクくん at 2006.10.14
バーネット〔著〕 / 伊藤 整訳
新潮社 (2004.12)
通常2-3日以内に発送します。

某所に進化医学の解説文を書く仕事上,西洋医学史の参考に読んだ「医学と医療 総括と展望」(文光社)がとてもおもしろかった(5000円もする!当然,医学図書館で借りた)。

基礎科学と医学の共進化という視点で見ると,科学の発展の歴史は,またおもしろさを増す。最終的に,なんとか進化医学の意味づけまでこぎつける。



総合図書館へ図書館カードの更新に行ったついでに,書籍部へ。この,まるで受験生のようなD3生活の中,文学的なもの,精神的なものへの憧れは増すばかりだ。なだいなだ「神 この人間的なもの」(岩波新書),バーネット「小公女」(新潮文庫)などをもとめる。



昨夜は,モーパッサン「脂肪の塊」を就寝前に。

ブール・ド・シュイフほどの悲しみに,今までわたしは遇ったことがあるだろうか。



医学と医療 総括と展望

医学と医療 総括と展望

  • 作者: 後藤由夫
  • 出版社/メーカー: 文光堂
  • 発売日: 1999/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

脂肪の塊・テリエ館 (新潮文庫)

脂肪の塊・テリエ館 (新潮文庫)

「ソーニャ・コヴァレフスカヤ」を読み返す。今になって胸に迫ること多し。

サンシャインシティでパスポート申請。ついでに、アルパ地下の古本市をのぞき、犀星の「生きたきものを」を購入。亡くなった夫人にまつわる随想集である。「女ひと」に似ているようでもあり、もっと淡く静かなようでもある。

 ひさびさに古本を眺めた。これだけの本を読んだ人たちがいたのだ。何を求めて彼らはこれらの本を購ったのか。どこに惹かれたのか。



 午後から夜はM君の電顕指導。ブフネラの細胞膜はぶじ見えた。新しい電顕は、なかなかにしてよい。YH君のヘルプありがたし。

女ひと―随筆 (新潮文庫)

女ひと―随筆 (新潮文庫)

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