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なつかしい小公女にひさしぶりに会った。
新潮文庫の訳は伊藤整。美しい完訳で再会したサアラ・クルウは,前に思っていたよりも強く,勝ち気であった。決してただのおとなしい天使なんかではない。
引き取ってやるのだから私の親切に礼を言いなさい,というミンチン女史に,サアラは礼など言わなかったばかりか,こう言ってのけた。
「先生はしんせつでなんかありません。しんせつでもありませんし,ここは家でもありません。」
7歳のサアラはこうも語る。
「ものごとってひとりでにおこるものね。わたしには,いいことばかりいろいろとおこったのよ。わたしが本や勉強が好きだということも,読んだものをおぼえるということも,ひとりでにそうなったのよ。(中略)きっとほんとうは,わたしはいじわるなのかもしれないわ。でも,ほしいと思うものはなんでももらえるし,だれもがしんせつにしてくれるのだから,いじわるなんか,してはいられなくなるでしょう。いったい」と言って,サアラはまじめな顔をし,
「わたしがいい子なのか,悪い子なのか,どうしてもはっきりしないの。きっとわたしはひどい子なのよ。だけど,一度もつらいめにあわなかったから,それがだれにもわからないのだわ。」
「ラヴィニアは一度もつらいめにあわないけど」とアーメンガアドが,ぼんやりと言った。「あの人あんなにいじがわるいわ。」
サアラはそのことを考えながら,いつものくせで鼻のあたまをこすっていた。そしてとうとう,こんなことを言った。
「そう,それはね,きっと—-きっとラヴィニアがおとなになってきたからよ。」
某所に進化医学の解説文を書く仕事上,西洋医学史の参考に読んだ「医学と医療 総括と展望」(文光社)がとてもおもしろかった(5000円もする!当然,医学図書館で借りた)。
基礎科学と医学の共進化という視点で見ると,科学の発展の歴史は,またおもしろさを増す。最終的に,なんとか進化医学の意味づけまでこぎつける。
総合図書館へ図書館カードの更新に行ったついでに,書籍部へ。この,まるで受験生のようなD3生活の中,文学的なもの,精神的なものへの憧れは増すばかりだ。なだいなだ「神 この人間的なもの」(岩波新書),バーネット「小公女」(新潮文庫)などをもとめる。
昨夜は,モーパッサン「脂肪の塊」を就寝前に。
ブール・ド・シュイフほどの悲しみに,今までわたしは遇ったことがあるだろうか。
「ソーニャ・コヴァレフスカヤ」を読み返す。今になって胸に迫ること多し。


